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Fate/insanity banquet
Fifth day
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してくれているのかと思いましたよ」
 屋根の上で寝ていたクロの姿を見ていたセイバーはそう言う。クロはセイバーたちが手に持っている紙袋に注目していた。
「むー、クロはお腹が空いたのである! セイバー、そのどら焼き、クロに一個ちょうだい?」
 どら焼きの紙袋に手を入れようとするクロの手を、セイバーはぴしゃりと叩く。
「ダメです。これは、私の大事な大事なおやつなんですから。大体、猫ならば、自力で餌を捕るくらいのことをしませんか!」
「吾輩は、家猫だから、狩りは不得意なのだ」
 ぎゃいぎゃいとセイバーとクロがじゃれあっていると、ついにセイバーがクロをぽいっと放り投げる。みぎゃっと潰れたような声を出すと、地面に落ちる。仕返しを、と考えていると、クロは自分の体が何者かに摘み上げられていることに気が付く。その顔を確認しようとすると、クロはセイバーの元に投げ返される。
そして、冷徹な声がその場に響いた。
「ランスロット、いつまでかかっているの?」
 その声にランスロットが勢いよく振り返ると、そこには呆れた顔で腕を組んでいる少女の姿があった。
「マスター?!」
 あからさまに、げっという表情をしたことで、マスターの表情筋がぴくりと動く。
「あなたが、ランスロットのマスター……」
 先程ランスロットがブラック企業と称した、マスタである目の前の少女をセイバーは見る。
「先ほどは、わたくしも悪かったわ。あなたの王も、そして元マスターも、大事な存在なのに変わりないものね」
「マスター……! 分かって下さるのですか?」
「えぇ」
 彼女はにっこりと微笑む。その笑みは、天使の物のように柔らかいものだ。その微笑みを見て、安堵のため息をつこうとしたランスロットに彼女の言葉が突き刺さる。
「だから、あなたにわたくしの方が重要だということを分からせるために、絶対服従の命をだすわ」
「は、はい?」
 反抗的な態度を見せようとしたためか、彼女は手の甲に浮かぶ令呪をかざす。
「令呪をもって……」
「分かりました、分かりましたから」
 ランスロットの返答を聞くと、彼女は満足そうに頷く。そして、セイバーたちに背を向けて歩き出す。その後を、がっくりと肩を落としながらランスロットはついていく。
「あぁ、そういえば。明日の天気予報は、雨でしたわね」
 ふと思い出したように彼女は一度足を止める。くるりと振り返り、時臣と雁夜をその金の瞳に映す。じっと二人を見つめると、さらりと彼女は続けた。
「気をつけて、雨の日の帰り道は。何か良からぬものを運んでくるものよ」
 黒い髪が風に揺れたと思った時、そこに彼女とランスロットの姿はすでになかった。
 嵐のように去っていた二人の消えた場所をぼんやりと見ていると、不審者の通報を受けた警察が到着し、ちょうどことにいた唯一の成人
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