Fifth day
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クロはお腹がすいたのである。煮干しでも何でもいいから、取って……っていない」
腹ペコ黒猫の頼みは、聞き届けられることは無く。仕方ない、とクロはご飯をくれる人を探しに、衛宮邸を後にした。
目的のどら焼き九個をしっかり手に入れることができ、満足気な表情を隠さないセイバー。そして、今更クロを連れてこなかったことを思い出していた。クロが人間に変化出来ると、凛から聞いていたのだ。クロを含めれば、計十二個のどら焼きが買えたはずなのに、と若干ネガティブな考えになる。だが、彼女はそのクロが人間の姿になる時は、黒ビキニにバスローブという、とんでも格好になるということまでは知らない。
「さて、目的は果たしました。シロウたちが帰ってくるまで時間がありますし、二人がどこか行きたいところはありますか?」
どら焼きの袋を大事そうに抱えながら、セイバーは二人に尋ねる。
「俺は、別に無いけど、時臣は?」
「僕も、特には」
二人の返事と、傾き始めている太陽を見て、セイバーは言う。
「む、そうですか。では、暗くなる前に帰りましょうか。付き合ってもらって、ありがとうございます」
三人が元の道を帰ろうとした時、背中からものすごい勢いで走ってくる人間の音が聞こえてきた。何事かと思って三人が振り返ると、そこには長髪、長身の美形男性が一人。
その男の姿を見て、時臣と雁夜はきょとんとした表情を見せる。だが、セイバーは目を細めて、その男を見ていた。
「僕らに、何か……」
自分たちを、というか雁夜を見て動かなくなってしまった彼に、時臣が問いかける。すると、彼は自分よりも六十pほど小さい雁夜を抱きしめる。
「カリヤっ……」
悲痛な声で自分の名前を呼ばれ、雁夜は目を丸くする。この男は確実に初エンカウントのはずなのに、何で自分の名前を知っているのか。もしかして、ストーカー? などという考えが一瞬のうちに雁夜の脳内を駈けめぐる。
「はぇっ? お、お兄さん、誰?!」
苦しい、苦しいとジェスチャーを送る雁夜だが、本人には届かない。それを見兼ねた時臣は、彼と雁夜を引きはがそうと、男の手を引っ張る。
「雁夜君から、離れて下さい。け、警察呼びますよ。小さい男の子に、いきなり抱き付く不審者だって」
そんな警察は、まだ多くの人で賑わう商店街に来ている人によって、不審者の通報と言う形ですでに呼ばれていたりするのだが、彼らは知らない。
「いえ。私にはNTR属性はありますが、ショタ趣味はありませんので、どうかご心配なく」
キリっという効果音が付きそうなほどのいい顔で彼は言う。それを聞くと、バキバキと指を鳴らしながらセイバーが男の前に立つ。
「ほーう。リンたちが襲われた、黒い鎧の狂戦士、誰かと思っていれば。貴様、冬木生まれ、冬木育ちの、乱・素玄人ではないか」
「げっ……
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