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Fate/insanity banquet
Fifth day
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「というわけで、買い物に行きましょう。トキオミ、カリヤ!」
 時刻は午後三時半。小学校から帰宅した時臣、そして昨日のようなことが起きないように、学校が終わった後は衛宮家に行くように言われた雁夜がキョトンとした顔でセイバーを見る。他の居候サーヴァント、ライダーは骨董屋の店番、アーチャーはどこかへふらりと出かけて行ったため、この家にいるサーヴァントはこの腹ペコ騎士王のみだ。
「ええっと、まだ僕は宿題が終わらなくて」
「俺も、明日漢字のテストがあるし」
 出かけるのはちょっと、と言いたげな二人。二人はちゃぶ台に教科書やプリントを広げ、せっせと鉛筆を持つ手を動かしている。セイバーは二人の言い分に大きく頷きながら言う。
「えぇ、分かっています。学生と言えば、勉強は重要なもの。ですが、これを見てください!」
 セイバーがそう言って二人に差し出したのは、一枚のチラシだった。黄色の紙に、黒のインクで文字が書かれている。
「なになに、『タイムセール、どら焼き一個三十円。破格の値段のどら焼きは、お一人様三個まで』と。あ、俺察した」
 雁夜が読み上げると、時臣もその紙を覗きこむ。セイバーはキラキラと顔を輝かせて二人に言い聞かせる。
「いいですか、この衛宮家の食費は、シロウが頭を悩ませる最大の原因の一つと言えます。それを、このどら焼きタイムセールは、僅かながら緩和してくれるものなのです。三人で買いに行けば、九個のどら焼きを手にすることが出来ます。通常一個百円のどら焼きを九個も買えば、シロウのお財布はすっからかんになってしまいます」
 ですが、とセイバーは力強く続ける。
「このタイムセールでは、どら焼きは一個三十円、九個買っても二百七十円にしかならない! これは、買いにいくしかありません」
 目の中にメラメラと燃える炎をちらつかせながら、彼女は拳を握りしめて言った。
「まず、食べるのを我慢するっていう選択肢は、セイバーさんに無いってことか」
 士郎さん、ご愁傷様と雁夜は呟く。
「ま、俺は行こうかな。この辺のこと、あんまり知らないから、探検みたいな気分になるし」
 マトウカリヤは、たいしてこの街に思い入れを作らないまま、家を出てしまった。間桐の家に戻ってからも、ほとんど地下に閉じこもっていたため、このあたりのことは知らないも同然だった。
「雁夜君が行くなら、僕も行こうかな」
 鉛筆を机の上に置き、時臣は彼に笑いかける。
「そうと決まれば、出陣ですよ、トキオミ、カリヤ!」
 セイバーの言葉に、二人は「おおっー!」と掛け声をかけ、三人は商店街に繰り出して行った。
 三人が玄関から出て行ったと同時に、屋根の上で昼寝をしていたクロが居間に入ってくる。ごしごしと顔を擦りながら、先程までそこにいた騎士王に声を掛ける。
「ふわあああ。おーいセイバー、
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