Fifth day
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。これは、言葉遊びか何かなのだろうか。犯人と自称する人物は、実は犯人ではない。教会に来た理由は警察に捕まるから……いや、それで何で犯人じゃなくなるんだ。犯人は犯人じゃなくて、犯人は……。
「おい、マスター。坊主、混乱してるから、早く最期まで話してやれ。このままだと、ショートしそうだ」
士郎の脳内が、犯人と言う言葉に埋め尽くされそうになると横からランサーの手助けが入る。
ランサーの言葉に肩を竦め、彼女は続ける。
「彼はいたって普通の子供なのですが、その中にかなり悍ましい物を飼っている。まぁ簡単に言えば、悪魔憑きなのですが。そんな彼を救いたいと思って」
「悪魔憑きというと?」
「犯人の普段の人格とは別に、あの事件を起こした悪魔の人格があるということです。通常の悪魔であれば、ホイホイっと聖水やらなんやらで祓えるのですが、かなりの大物が憑いているようなので、私と教会の力ではどうにも」
ホイホイなど、黒いつやつや光る悪魔を連想させそうな言葉で軽く説明してくれるカレン。普通の悪魔って、聖水やらなんやらというアバウトな感じで祓えるものなんだろうか。
とりあえず、彼女が何故衛宮家に来たのかは分かった。だが、もう一つの問題がある。
「それで、何で俺なんだ?」
最大の疑問はそれだ。はっきり言って、魔術ですらこの頃知識が付いてきた士郎は、悪魔などは完全に専門外。というよりも、全く知らない。それなのに、自分に何故聞いてくるのかは甚だ疑問だ。
「うちにいるニート成金野郎が、あの雑種にでも頼めばいいと言ったので、他に頼る相手もいませんし来たまでです」
「む、無責任な……」
教会にいる成金ニート、今度来た時にセンブリ茶でも飲ませてやりたくなった。
「まぁそれと、あなただったら、何だかんだ言って力を貸してくれると思いましたし」
彼女の確信を持った言葉に詰まってしまう。確かに、ここで文句を言ったとしても恐らく、その悪魔が憑いているという少年の話を聞いてしまっては、自分は何もしないわけにはいかないだろう。それは、自分が許さない。
まぁそうだけど、と渋々頷くと、それを見たランサーが笑っていた。坊主は変わらない、と。カレンは湯呑のお茶に口を付け、一口啜る。
「私だって、そんな犯罪者を匿いたくなんかありません。でも、悪魔の人格でないほうの彼は、いたって平凡な少年のはずですから。悪魔は忌むべきもの、そして聖職者は人々を悪魔から守る立場です。少々めんどくさくても、これは私のすべき仕事。出来なければ、誰かにやってもらいます」
何かいいこと言っていた気がするのだが、最後の言葉で色々と台無しだ。彼女は湯呑を置くと、ビシッと士郎を指さして言う。
「という訳ですので、明日セイバーと共に教会に来て頂けますね」
疑問符さえ付いていない。そして、提案の形を取っ
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