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Fate/insanity banquet
Fifth day
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それはおかしい。自分が時臣に始めて出会った時も、そして今日も。彼は、自分を見て何一つ反応を示さない。それは、彼が記憶を持ってはいるが、まだ覚醒していないという証なのだろうか。
どちらにしても、飽くことは無い。その確信だけが、今のギルガメッシュの中にあった。彼は体を金の粒子に変えて、その場から立ち去って行った。


?
 あの朝の一件の後、生徒会室で一成に昨日の礼を言った士郎だったが、その時、首に残る痕を彼に見つけられ授業の始まるまでかなり問い詰められた。自分がなんと言い訳をしたのかは覚えていないが、朝からものすごく疲れたことだけは覚えている。そして、授業をフルでこなし、疲れ切った彼はようやく家に戻って来た。
「ただいま――」
 玄関の戸を開けて靴を脱ぐ。他の居候たちはどうしているだろうと思いながら、居間の戸を開けると。
「よっ、坊主」
 煎餅を持ちながらこちらに手を上げて声を掛ける青い髪の男、ランサー、そしてその横でちゃぶ台の上の籠に入っているみかんに手を伸ばしている白髪の少女、カレンの姿が目に入る。いつもは新都の教会にいる二人が、何故この家に来ているのか。
「ランサー、それにカレン。どうしたんだ?」
 自分の家の食料を勝手に食べられている、という事実は士郎の頭からは抜け落ちていた。蜜柑の白い繊維を綺麗に取って、カレンは口に放る。
「お邪魔しています」
 もごもごと蜜柑を咀嚼しながらカレンは返事を返す。その隣のランサーは、台所を指さしながら士郎に言う。
「今日とれた魚、冷蔵庫に入れといたぞ。サバが三匹と、ソウダガツオ一匹。旨い料理に化けるの、楽しみにしてるぜ」
「いつもありがとな、ランサー……じゃなくて」
 魚に流されて、目的を聞きそびれそうになり、危ないと自分に言い聞かせる。鞄を床に下ろし、士郎は部屋の中に入る。
「話はともかく、お茶を頂いてからです。日本茶がいいです」
 カレンはハンカチで口元を拭くと、士郎にそう所望する。それを聞いて、ランサーもまた俺もと士郎に言う。マイペースというか、遠慮を知らない二人にため息をつくが、士郎は着替えを先に済ませてくると伝え自室に戻った。
 着替えを済ませたついでに、居候たちの部屋を確認したが、どうやらまだ誰も帰ってきていない様子だった。凛とアーチャーはともかく、セイバー、そして時臣とうちに寄ることになっていた雁夜がどこかに出かけているというのは、少し珍しいと思ってしまう。士郎は台所の棚を空け、緑茶の茶葉の缶を取り出す。中に入っているスプーンで適量を測り、急須の中に入れる。と、丁度やかんが音を立て始めたため、コンロの火を消す。一度、湯呑にお湯を注ぎ、少し待つ。そして、湯呑のお湯を急須に注ぎ、一分ほど待つ。これで進出は出来たので、湯呑にお茶を注いでいく。ふわりと薫る緑茶のにおいが鼻孔を
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