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Fate/insanity banquet
Fifth day
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「人間は、死によって魂が完全なものとなる。転生を認めてしまえば、新たな生を生きることで、人の魂は新たに罪を背負うこととなってしまう。それは、悪よ。転生という邪なるものを、わたくしは認めないし、許すわけにはいかない」
 きっぱりとそう告げる彼女の目に迷いはない。
「転生をして、悪にならない人間は、選ばれた者だけですもの」
 それ以外は消去される運命にある。そして、それを請け負うのは自分だと彼女は主張していた。
「では聞こう。貴様は、どうだというのだ? その転生が悪だと知りながら、貴様は自分自身が悪だとは言わぬのか?」
 その言葉は、まるで目の前の彼女自身が転生した人間だと言いたげなものだった。
「わたくしは、自分が善だなんて思ったことは無くってよ。わたくしは、自分の欲望のために生きているのですもの。でも、それを後悔することも、赦しを願うことも、わたくしはしない」
 そう言って彼女は不敵に笑って見せる。自分が善とは思わない。だが、自分の為すことは間違ってなどいない。きっぱりとそう告げる姿は、彼の執着するセイバーとはまた違った美しさを放っていた。
「英雄王、一つ聞いていいかしら」
 彼の沈黙を是と取り、彼女は続ける。
「何故あなたは、わたくしの前に現れたの? いえ。わたくしは、あの子がここに来た時から、いずれはあなたを利用できれば、利用したいと思っていたけれど」
 あなたのほうから近付いてくるとは、と話す彼女。ギルガメッシュは目を細めて彼女を見る。
「面白い女がいると思って、来たまでよ。その欲望に満ちた瞳、崇高なる魂。我の女となるには少し足りぬが、そばに置いておいても悪くは無いと思ったのだがな」
 美しい、高潔な魂は目を見張るものがある。だが、自分と彼女は相容れぬ存在だ。自分は善であり、彼女は善とは言えない存在なのだから。彼女も彼の言わんとすることが分かったようだった。
「お生憎さま、わたくしは、いつの世も英霊というものとは相性が悪いのよ。わたくしの嫌う、転生に似たものを背負っている存在ですものね」
 彼女はそう言うと立ち上がる。日も落ち、空は黒く染まり始めている。ギルガメッシュの横を過ぎ去ろうとした時、彼女に一つ問いを投げかけた。
「女、お前は、何を求めて生き長らえる?」
「わたくしが求めるのは、この世界の理と概念の破壊。それだけを求めて、今、この時までわたくしは存在しているの。そしてその願いは、この時間軸、この空間軸でようやく叶おうとしている。誰にも邪魔はさせない。例えそれが、神だとしても」
 彼女はそれを伝えると、今度こそ夜の闇にその影を溶かしていった。ギルガメッシュはそれを見送ると、先程の彼女との会話のある部分を思い出していた。
彼女はこう言っていたはずだ。「時臣と雁夜は前世の記憶を持って存在している」と。だが、
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