Fourth day
[9/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちねちと続いていきそうな小言を遮る。
「桜も心配してたんだから、早く元気になりなさいよね」
凛が靴を脱いで家の中に入っていくと、士郎はアーチャーによって、玄関にぽいっと投げ捨てられる。強く腰を打ち、恨みがましく彼を睨む。だが、ここまで自分を運んでくれたという事実で、文句は言いにくい。
「ありがとな。その、運んでくれて」
アーチャーはそれには何も答えず、士郎の顔面に彼の学生カバンを寄越した。見事にクリーンヒットしたそれを顔からはがす。やはりこいつには、一度文句を言わないと気が済まない。カバンを掴み、アーチャーの背中にぶん投げるため立ち上がると、士郎の胸に黒い塊が飛び込んでくる。
「シロウ! 吾輩は、お腹がすいたのであるっ!」
「ぐふっ……クロ……」
弾丸並みの速さで士郎のお腹に直撃したクロ。クロは、テンション高めにそう宣言する。クロが飛び込んだ衝撃で尻餅をついている士郎に、セイバーが声を掛けた。
「お帰りなさい、シロウ」
「た、ただいま。セイバー」
セイバーは、ご飯、と言って士郎から離れようとしないクロを摘まみ上げる。それに抵抗してじたばたと動くクロのせいで士郎に近づけずにいると、彼女の後ろからはひょっこりと茶色の髪が覗いた。
「おかえりなさい、士郎さん」
「ただいま、時臣」
家にいるというのにしっかりとリボンタイを締めている彼からは、やはり優雅な雰囲気が滲み出ている。最初に出会った時に、凛と似ていると思ったのはやはり勘違いだったのだろうと心の中で思う。
「今、失礼なこと考えなかった?」
エプロンを手に取っている凛が、顔を覗かせる。それを否定するため、士郎は大きく頭を左右に振る。訝しげに士郎を見ていたが、今日は問い詰めはしないようだ。
「そう……。まぁいいわ。とりあえず、士郎は休んでて。今日は、私とアーチャーで作るから」
アーチャーに中華鍋を投影してもらおう、と言っていた彼女の足元にクロが近づく。
「む……。吾輩は、リンのご飯よりも、シロウのご飯が好きなのである。リンが作ると、全部赤い料理になるのだ」
「うるさいわね。そんなこと言うなら、煮干しだけ食べてればいいじゃない」
猫は辛いものは苦手だ、と言い張るクロを凛は一蹴する。それに不満そうにクロは口をとがらせる。
「それは嫌なのだ。別に、猫は魚が好きなわけではないぞ。猫は魚が好きというのは、日本人の固定観念なのだ。クロは、魚よりもお肉の方が好きなのである」
「アンタ、本当に文句が多いわね……」
今にもクロをしばきそうな凛を見て、士郎が立ちあがり彼女の手のエプロンを取る。
「俺が作るよ、遠坂」
彼の言葉に凛は目を丸くする。そして、むっとした表情を見せた。
「士郎、さっきまでヘロヘロだったのに、よく言うわね」
桜ほどではないが、士郎が倒れた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ