Fourth day
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物は頼んでおいたの。その食材が揃っていれば、ナポリタンとかミートドリアを作ろうと思っているわ。それでよろしくって?」
「いい、すごくいい。デザートにショートケーキなどがあると、直のこといいが」
キラキラと目を輝かせている姿は、通常のセイバーと何ら変わりのないものだ。彼女は黒セイバーの手の中のドーナツをもう一度見つめる。
「それなら……、商店街で買っていけばいいわ。……バーサーカーにも買っていこうかしら」
「彼はああいった菓子の類は、あまり口にしないかと思うが」
「まぁ、そこは気持ちというものよ」
先ほどまでの張りつめた雰囲気はどこへやら。中のいい姉妹のように話しながら、二人は二人の帰路へとついた。
シヴァと別れ、衛宮邸に入った桜だったが、現在の時間と自分の家にいる彼のことを思い出す。玄関の扉を開けようとしていた凛を彼女は呼び止める。
「あの、遠坂先輩」
「何、桜?」
振り返った彼女に、申し訳なさそうな顔をして桜は告げる。
「その、先輩のことはすごく心配なのですが、夕食の支度とかあって今日はもう帰りますね」
「珍しいわね。あぁ、なるほど。あの子を一人であの家に置いておくのは、ね……」
凛は、昨日彼女が連れていた少年の存在を思い出す。どこか儚げのような、そうでもなく力強そうな。ついでに以前見たことがあるような、幼気な少年。時臣と同じように庇護欲が駆り立てられる彼を、あの間桐の家に置いておくのは危険だ。主に、間桐慎二や間桐慎二、ちょっとだけ間桐臓硯の存在があるのだから。ライダーとアサシンがいるとはいえ、心配なものは心配だ。
「えぇ。また明日の朝来ます。先輩に、よろしく伝えておいてください。それじゃあ」
パタパタと駆けて行く桜を見送り、凛は今度こそ家の中に入ろうとする。今まで黙って士郎を背負っていたアーチャーは、いい加減自分の背中の荷物が鬱陶しくなったようだった。
「いつまで眠っているつもりだ、衛宮士郎」
ゆらりゆらりと気持ちよく揺られていた士郎は、ぺしりと額を叩かれ目を覚ます。
「んんっ……?」
目を擦りながらゆっくりと瞼を開くと、そこに見えたのは不機嫌極まりないといったアーチャーの横顔だ。
「あ、アーチャー? って、あれ。俺、保健室で寝てたんじゃ」
二、三度瞬きしたことで、自分の置かれている状況に気が付く。背中から降りようにも降りられない。凛は黒い髪を揺らして士郎を振り返る。
「それはもうぐっすりと。起こすのも悪いし、アーチャーに運んでもらったのよ」
「そう、だったのか。悪いな」
士郎の言葉に、アーチャーは大げさにため息をつく。
「そう思うのなら、早く体調を戻すことだ。全く、寝不足で倒れるなど、期末試験前の学生ではあるまいし」
「分かってる、っていうか随分具体的な例えだな」
士郎は、ね
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