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Fate/insanity banquet
Fourth day
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は出席簿を閉じて、生徒たちのほうを見る。
「今日からうちのクラスに、転校生が来る」
 その一言で、静かだった教室がざわめき始める。士郎のことで頭がいっぱいだった桜も、意識をそちらに向ける。なんとも微妙な時期だ。こんな時期に入ってくる転入生とは、どんな人物なのか。
「入っていいぞ」
 教師の言葉が終わると同時に、教室の前方のドアが開く。クラス中の視線が、一斉にその一点に注がれる。
 そこに現れたのは、一人の少女だ。長く腰のあたりまで伸びた黒髪。真っ直ぐに伸びたそれは、彼女が歩を進めるたびに波打ち、秀麗さを放つ。彼女の肌は、健康的な小麦色に輝いている。そして、リボンは取ってあり、ボタンがかなり大胆に開けられている胸元。クラスの男子の視線は、もちろんそこに釘付けだ。彼女の豊満な胸を見て、桜は自分の胸元に思わず視線を落としてしまう。
 黙って彼女の登場を待っていた教師だったが、その姿を見て待ったの声を掛ける。
「ちょっと、一体どんな格好を……!」
 若干顔を赤らめてしまう教師に、キョトンとした表情で彼女は答える。
「仕方なくってよ。この制服のボタンを上までとめてしまっては、わたくしの胸元はきつくてきつくて、息が止まってしまいますもの」
「だからと言って、そんな非常識な格好をしていいと思っているのか?!」
 確かにここまで制服を改造して着るというのは、非常識と言われても仕方ないように思える。だが、それを選択した本人は納得いかない表情で反論する。
「どんな格好をしようと、それを決めるのは他の誰でもない、ここに居るわたくし。他人に指図される覚えはありませんわ」
 その言い方は、まるで自分が法だと言っているような絶対さがあった。どこかの金ぴかを彷彿させるそれに、桜は何とも言えない気持ちになる。彼女は自分の胸をぐっと突き出して続ける。
「大体、触りたいのなら、触りたいと、そう一言いえば承諾しても構わなくってよ。日本人の胸というものは、実に慎ましやかで、男性からすると物足りないでしょうに」
 どうぞ、というようにボタンを更に外そうとする彼女。今まで彼女に気圧されていた教師だったが、流石にそのことの重大さに気が付いたようだった。数分前に彼女が入ってきたドアを指さす。
「き、み、は、廊下に立っていろ!!」

 朝のホームルームはそのような様子で幕を閉じた。自由奔放というか、実に不思議な彼女によって引っ掻き回された後、何とも言えない空気の中、教師は教室を後にした。そして廊下に出た後、やはりというか、転校生である彼女の姿は無く、教師は憤りを隠せずに職員室へと戻っていった。
 一時間目、二時間目と彼女は教室に姿を現さなかった。三時間目の少し長い休み時間に、桜は彼女を探そうと屋上に行く階段を上っていた。突飛な彼女の姿に、どこか惹かれるものがあった。彼女
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