Third day
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あの虎聖杯の時にセイバーが分裂して、あんたが一つの個となったのは分かるわ。でも、時臣君を殺そうとする理由は無いでしょう?」
「理由も何も、これはマスターからの命だ。その少年を殺すようにという」
淡々とした黒セイバーの言葉を、凛が手で指を折りながら整理する。
「マスターの命令って、あんたは黒桜がマスターで……あれ、でも分裂した後は……」
ややこしい計算をしているように、頭の中がこんがらがってきた凛にアーチャーが声を掛けた。
「凛、考察するのは、この場を切り抜けた後だ」
彼の言葉にはっとして、戦闘態勢に切り替わる。いつでもガンドを打ち出せるように人差し指を黒セイバーに向ける。だが、アーチャーはそれを制する。
「凛。君は時臣を連れて、ここから逃げろ。私が彼女の相手をする」
せっかく戦闘態勢に入ったというのに、と文句を言いたげな顔をする彼女にアーチャーは苦笑しながら言う。
「今日は休日だろう。こんなところで戦うなんて、無粋だ。私に任せて、君たちは休日を楽しんだ方がいい」
彼の言葉に一瞬考える素振りを見せる。だが、行動はすぐに決まったようだった。凛は時臣の手を握りなおすと、走り出す。
「ありがとう。アーチャー、やられんじゃないわよ!」
凛はそれだけ言うと、人ごみの中に紛れ込んで行った。
二人を追っていくことはしない黒セイバーに、アーチャーは声を掛ける。
「君の新しいマスターがどんな人物か、気になるものだな」
「シロウともサクラとも違う。私のマスターは、自らの願望に忠実な人間だ」
黒セイバーの言葉に、アーチャーは眉を寄せる。
「自らの願望だと? それが時臣を殺すことだというのか」
彼の言葉に、黒セイバーは首を左右に振って否定する。
「否。あの方の願望は、世界を滅ぼしかねない、野望とも言えしもの。だが、それを求めし信念は、どんな人間よりも美しい」
彼女の言葉を聞き、アーチャーは自分の中の「正義」が疼くのを感じた。どうやら、自分が見過ごすことの出来ないものを彼女と彼女のマスターは起こそうと押しているのだと分かったのだ。
「君たちの行動は、平和を乱すもののようだ。それを黙って見ているわけにはいかないな」
黒のシャツを着たまま、彼は両手に投影したいつもの夫婦剣を握らせる。プリン風呂を士郎と共に彼女に作ったこともあったが、この冬木の脅威となるのなら、ここで消すべきだと、そう結論を下した。
そんな彼に、あ、と黒セイバーは言い、大事なことを付け加える。
「それに、マスターはケチャップを常に私に持たせて下さる方だ。プリンにパフェ、ハンバーガーを食卓に並べて下さる。素晴らしい方だ。そんな方の命令に背くわけにはいかない」
「……そ、そうか」
少々気が抜けてしまったアーチャーだが、彼女が手に黒き剣を握ったことで気を
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