Third day
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ていなかったよ。ましてや、魔術師でない君にね」
ふぅと息をつき、手品のネタばらしをするように生き生きと猫は語り出す。
「クロに残っている力だけでは不十分だったから。彼と顔を合わせた時に少し、ね。大したものではないよ。クロが彼を選んだから、ちょっと教えてあげたくなっただけだ」
そこまで言うと、はっと何かに気が付いたような反応を示す。そして、悪戯っぽい声で彼にあることを指摘する。
「雑種と言い、蔑んでいる割には、君は衛宮士郎のことをよく見ているんだね」
その言葉にピクリと反応を示す。そして、一層不快そうな顔をして、地を這うような低い声で猫に命令する。
「もういい、去れ」
「勝手に引きずり出しておいて、君は横暴だな」
はぁとため息をつくが、猫自身もこれ以上彼と話すことは無いようだ。猫は庭を駆けて行き、彼の視界から完全に消えた。衛宮邸の縁側に再び静寂が戻った。彼は大人しく縁側に座ったままでいる。
あの猫は、衛宮士郎を守ると言った。猫が自分の事を英雄王だと知っていたのなら、士郎の隣にいるセイバーの正体が騎士王であるということも、知っているのかもしれない。そして、それを知りながら、「守る」と口にしているのだとしたら。
そこまで考えたことで、ギルガメッシュは自分の思考を停止させる。それだからといって、何を不安がる必要がある。この家には三騎のサーヴァントがいる。そして、将来有望な魔術師と自分を倒したこともある男もいる。そう、もしこの地に何かが起きたとしても、彼らの力であればそれを抑え込むことは出来るはずだ。それなのに、なぜこんなにも自分は違和感を感じているのか。
一瞬彼の脳裏を過ったのは、前の聖杯戦争の時の自分のマスターによく似た少年の顔。
「馬鹿馬鹿しい」
そう呟くと彼は姿を金の粒子に変え、その場から消えていった。
時臣の手を引いて、ルンルンという効果音が付きそうなほどテンション高く凛は新都のビル街を歩いている。そんな二人を少し離れた後ろからアーチャーは見守っている。
「凛さん……ちょっと早いです」
十歳の少年と十八歳の少女の歩幅は結構違うものであり、歩いているとき常に早歩きで歩を進めることに、時臣は少々疲れを感じていた。だが、その訴えを受けた凛は、彼の言葉は耳に入っていないようだった。
「せっかくなんだから、洋服とか、色々買いましょう。あなたが持ってきたのって、本当に最低限の荷物だけだったじゃない。今日は、奮発して必要なもの買ってあげるんだから」
普段の貧乏性の彼女からは信じられないような言葉が飛び出し、アーチャーは思わず小さく笑ってしまった。
時臣はそんな彼女の行動を嬉しくも、複雑な思いも抱きながら受け止めていた。いきなり転がり込んできた自分に、ここまでしてくれるのは何故なのかと。あの家に住まわせてほしいと言
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