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Fate/insanity banquet
Third day
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、シロウがピンチでどうしようもない時だけである。多分」
「いいから、姿を現せ」
 凄みを含んだギルガメッシュの言葉に、威勢の良かったクロは初めて口を噤んだ。静かになったと思うと、クロは大きく体をしならせて尻尾を鞭のようにふるう。その動きにギルガメッシュは思わず手を離してしまった。空中で一回転し、猫は地面へと降りたつ。そして、やれやれというように首を左右に振った。
「随分なご挨拶だな、英雄王、ギルガメッシュ」
 落ち着いている声は、今までギルガメッシュの前にいたクロのものとは違う誰かのものだということを表している。自分が引きずり出したそれを見て、ギルガメッシュは満足そうな笑みを浮かべていた。
「ほう、我の事を知っているとは、貴様も英霊の類か?」
「いや、違う。そんな大層なものではないよ。というか、クロを痛い目に合わせないでくれ。魔術には対抗能力を埋め込んでいるけれど、直接的な攻撃には脆い」
 宝具などはもっての他だ、と言う猫を見て、やはり自分が先ほど宝具を使おうとした時に邪魔をしたのは、この猫なのだとギルガメッシュは断定する。ギルガメッシュは目を細めて猫を見つめる。
「貴様が何者かなど、我にとってみればどうでもいい。だが、気になることがあるのでな」
「気になることとは?」
 猫はギルガメッシュに近づきながら尋ねた。
「お前は、この平穏を脅かす存在なのかどうか、ということだ」
 ギルガメッシュの問いかけに、猫は目を丸くする。唯我独尊で傍若無人な彼が、そのような些細なことを気にするとは何とも気味が悪いと思ってしまう。
「……そうだとボクが答えたら、君はどうするんだい?」
「この世を乱してよいのは人間のみ。貴様は人間ですらない存在、そのような物に、今を渡してやるつもりはないぞ」
 害となる存在ならこの場で消すと、ギルガメッシュの瞳は告げてた。彼の金色の瞳と、猫の赤の瞳が交差する。猫は大きく体を伸ばした。
「一度は人類の破滅を望んだというのに、今度は人の平穏を望む。君は実に面白い存在なんだな」
 くすりと笑みを漏らし、猫は彼を見上げる。ギルガメッシュは不快そうに猫を見る。
「何故、貴様がそれを知っている」
 彼のそちらの問いには、曖昧な返事を返すだけだった。猫は怪しげに尻尾を揺らして答えた。
「ボクもクロも、衛宮士郎のことが好きだからね。彼や、彼の大事な人たちを殺させたりはしない。と、答えておくよ」
 ギルガメッシュが望む完全な答えではなかったが、猫の言うものは妥協点だと考えた。もういいだろうというように、彼の前から姿を消そうとする猫に、もう一つ尋ねる。
「それと、だ。あの雑種に細工をしたのも、貴様なのか」
 自分の額を指さしながら言う彼を見て、猫は再び目を丸くさせて驚いていた。
「驚いた。まさか他人に気づかれるとは思っ
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