Third day
[5/24]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は甘すぎる。まして、受肉しているとはいえ、人間ではない自分に対しても、このように接するなど。だが、士郎は彼のそんな思考はお構いなしに話していく。
「消毒してやるよ。それと、遠坂とアーチャーが張り切って朝食作ってくれたから、食べてくか?」
悪意の無い善意に満たされた彼の言葉に、ギルガメッシュは内心ため息をつく。そして、士郎の額をピンッと指で弾いた。
「あいたっ」
じんじんと痛む額を押さえて、若干涙目になる士郎に向かってギルガメッシュはふてぶてしく声を投げかけた。
「この我が口にするのだから、美味なものであるだろうな?」
「ふん、当たり前です。凛とアーチャーの作ったご飯は、士郎の物には劣りますが、かなりの出来栄えに決まっています」
セイバーが自慢げに言い、その言葉に満足したのか、ギルガメッシュはそれ以上は何も言わずに大人しく彼らの元へ近づいてきた。
朝食後、それぞれが思い思いの時間を過ごし始める。士郎は洗濯、凛はアーチャーと時臣を連れて街に繰り出して行った。某騎士王は、士郎の淹れた緑茶を飲みながら、まったりとしている。
そして、唯一の来客であるギルガメッシュは、このまま教会に帰るのも癪だと考えていた。帰れば、あの醜悪シスターにランサーと共にこき使われるのが目に見えている。縁側に腰掛けながらどうしようかと考えている彼の前に、先程彼の顔に無数の引っかき傷を残していった黒猫が通りかかる。
「おい、そこな雑種」
雑種と呼ばれたことに、クロはあからさまに不快感を見せる。
「吾輩は、雑種猫ではないのだ。ジャパニーズボブテイルの純血なのである。それに、シロウは付けてくれた、クロという名前があるのだ。ちゃんと名前で呼ばないと、返事はしないのである」
ぷいっと顔を背け立ち去ろうとするクロを見て、ギルガメッシュ青筋を立てる。
「この……!」
ずかずかとクロに近づいたかと思うと、その尻尾を掴み持ち上げる。ぷらぷらと尻尾を揺らされると、体も振り子のように揺れる。
「痛い、痛い! 猫の尻尾を引っ張るとは、金ぴかぁ! いい度胸してるのだ!!」
ぎゃんぎゃんと喚くクロに、ギルガメッシュは冷ややかな視線を向けていた。
「我が話があるのは、貴様ではない。お前の中の、もう一人だ」
ギルガメッシュはこの猫と対峙した時、クロの違和感に気が付いていた。この猫には、自分を引っ掻きやがった人格、否猫格以外の人格があると。彼が宝具を使おうとした瞬間に、その気配を感じた。自分の力を赤子の手を捻るように打ち消してしまった。簡単に信じたくはないが、この猫に相当な力が蓄積されているのは事実だ。
もう一人という言葉に、クロは心底めどくさそうな顔する。
「はぁ? 何言ってるのだ。マリョクが足りないのに、金ぴかのために出てくるわけないのだ。あいつが出てくるのは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ