Third day
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ぐ時臣と視線を合わせる。彼の赤の瞳と時臣の青の瞳が交差する。突き刺すようなギルガメッシュの視線にも、時臣は目を逸らさずにいる。
「時臣」
いつもの彼からは想像つか無いような、穏やかな声でその名前を呼ぶ。
「はい」
緊張した声で、彼は答える。
「貴様は、この我が誰だか分かるか?」
彼の問いかけに、時臣は押し黙る。その沈黙は、質問の意図を探っているように感じられた。時臣は囁くように次の言葉を紡いだ。
「英雄王」
「!?」
ギルガメッシュが息を飲む。彼の手が、時臣に伸ばされようとした時、時臣は言葉を続けた。
「って、セイバーさんは呼んでいましたよね? お名前は、何とおっしゃるんですか?」
ギルガメッシュは伸ばしかけた手を途中で止める。そして、無言のまま時臣を見つめた。
「……」
ふぅと息を吐き出すと、彼の王は不敵な笑みを見せながら答える。
「我は、王の中の王、英雄王ギルガメッシュだ」
そう名乗る姿は、神々しい物に見える。だが、その中に少しだけ寂しさが混じっているようにセイバーには見えていた。
三人と一匹が対峙しているところに、ようやく士郎が姿を現す。そして、金の髪の主を見て声を漏らした。
「あ、やっぱお前だったのか。ギルガメッシュ」
どうせセイバーが絡まれているのだろうと思って来たが、予想は全く外れない。彼はやはり暇人なのだろうか、と思っているとギルガメッシュは片眉を上げて士郎の顔を見る。
「雑種、貴様はいつもに増して、更に貧相な顔をしているな」
「英雄王、我がマスターを侮辱するか?!」
セイバーのギルガメッシュに対しての態度がいくら少し軟化したといっても、士郎が絡むと話は別だ。今にも剣を抜きそうになる彼女を士郎は慌てて制す。
「落ち着ついて、セイバー。それに、あながち間違ってないから」
間違いでない、という言葉にセイバーはぎょっとした顔をする。そして、士郎の顔を覗き込む。
「シロウ、どこか具合でも悪いんですか?」
「あ――。ちょっと寝不足なだけだから、大丈夫」
元気だしとアピールするが、腑に落ちなさそうな表情をセイバーは続ける。それを見ていたギルガメッシュはつまらなさそうな顔して、くるりと三人に背を向ける。
「ふん、我は帰るぞ」
これ以上付き合ってやるつもりはない、というようにその場から立ち去ろうとする彼を、士郎は呼び止める。
「あ、ちょっと待てよ」
士郎はギルガメッシュの元に駆け寄る。そして、彼の右頬の赤い引っかき傷にそっと手を伸ばした。
「怪我してる」
心配そうな顔をして、ギルガメッシュを見上げる。怪我をして帰ってきた子供に向ける母親のような表情に、ギルガメッシュは内心呆れていた。自分は一応、前回の聖杯戦争で彼の敵として立ちふさがった存在だというのに、士郎の今の行動
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