Third day
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「ぐあああああっ?!」
彼の顔面には、クロの鋭くとがった爪に引っかかれたことで出来た赤い筋の傷が何本か出来ていた。
「何をする?! 獣畜生の分際で、この我に牙を剥くとは!」
何食わぬ顔で彼の手から抜け出して、尻尾を揺らすクロに怒声を浴びせた。
「クロが向けたのは、牙ではなく爪ですが……」
冷静にツッコミを返すセイバーだが、正直彼女もクロの行動には驚いていた。すると、ゆらりと尻尾を揺らしながらクロが彼女の前に立った。
「この前セイバーからおまんじゅうを取ってしまったから、そのお詫びの代わりなのだ。それに、何かそこの金ぴか見てるとイライラするし」
何ともひどい言い方にギルガメッシュは、額に青筋を浮かべる。
「貴様、獣の分際でこの我と同じ言葉を話し、我を愚弄するとは、身の程を知れ……!」
彼から放たれる殺気。そして、彼の後ろに感じる大きな存在の気配。セイバーは、ギルガメッシュが宝具を使ってクロを仕留めようとしていることに気が付く。たかが子猫にそこまでしなくても、とか。ここであなたの宝具を使われたら、大変なことになるとか。言いたいことが沢山あるが、まずは彼の宝具の発動を止めねばと動こうとする。だが、いつまでたっても、彼が宝具を使うときの金色のあの空間は現れない。
「英雄王?」
思わず彼に呼びかけてしまった。いや別に宝具を使ってほしい訳はない。無いのだが、こうも警戒していたのに何も起きないと、出鼻を挫かれた気分になってしまうのだ。
ギルガメッシュのほうも、戸惑っているような表情が混ざっていた。だが、すぐに不機嫌そうな顔をする。
「……いや。興が冷めた」
クロを憎々しげに見つめながら、彼が背を向け立ち去ろうとした時。ぱたぱたという足音が聞こえてきた。
「あ、クロちゃん。ここに居たんですね。セイバーさんも」
まだ少年のボーイソプラノ。この衛宮邸にセイバー以外誰が住んでいるかなど彼にとっては興味がないが、そんな小さい少年はいただろうかと考える。すると、セイバーが声の主に向かって答えた。
「時臣、ええ。先ほど、いきなりここに来たのです」
「時臣だとっ?!」
興が冷めた、と言ったはずの彼は、セイバーが口にした名前を聞くと、血相を変えたように時臣に詰め寄る。
「は、はい」
いきなり180p以上の男に詰め寄られ、時臣は目を白黒させる。
癖のある茶色の髪に、青の瞳。似ているといえば、彼の知る以前のマスターに似ていた。ギルガメッシュは彼を射抜くような視線でじっと観察している。
時臣の方はというと、いきなり見知らぬ外人らしき男に詰め寄られ、上から下まで観察され、何が何だか分からずに動けずにいた。蛇に睨まれた蛙、ということわざの使い道が身をもって分かった瞬間だ。
「ふむ、似ている。似ているな」
そう呟くと、真っ直
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