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Fate/insanity banquet
Third day
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ーカーは手を伸ばす。何かを求めるように。何かに、救われたいと願うように。
「カ……リ、ヤ」
「俺……?」
 自分の名前を呼ばれた雁夜は、バーサーカーを見る。自分は先ほどから、この狂戦士の表面しか見ていなかった。黒い鎧からは、深い悲しみと絶望が滲み出ている。自分はこの戦士をどこか知っているような、出会ったことがあるような。
「ぐ、がああああ」
 雁夜がバーサーカーに無意識のうちに手を伸ばそうとした時だ。バーサーカーは、胸を掻き毟るようにして苦しみ喘ぐ。その様子は、雁夜が感じたことを否定し、黒く塗りつぶしてていた。
 そして、その声が止んだ時には、バーサーカーに迷いは無かった。目の前の敵を殺すという、単純な目的だけがそこにある。手に持つ道路の標識は、禍々しい色を放っており、明らかに先ほどクロを弾いた時よりも圧倒的に力を持っていることが伺える。
 じりじりと間合いを詰めるバーサーカー。心臓が嫌というほど早く打ち、今にも壊れそうだ。やはり、サーヴァントから自分たちだけで逃げ切るというのには不可能だったのかもしれない。覚悟を決めなければと、凛がバーサーカーを真っ直ぐ正面から見据えた時。
 またしても彼女たちの前に立ちふさがったのはクロだ。先ほどのふざけた様子は無い。金の瞳をきらりと輝かせ、低い声で詠唱を始める。
「【主の戒めは常に私と共に。私は御言葉を守るため、我が足を留め、全ての悪の道を止める。私は主の智によって知恵を得た者。それゆえ、私は偽りの全ての道を憎む】」
 歌うような詠唱は、彼女の差し出した右手に力を集める。
「【メム】」
 その言葉と共に放たれる光の束。クロの手から離れると、バーサーカーの黒い鎧に巻き付く。
「■■■■――!!」
 光の束が巻き付いたことで、身動きが取れなくなる。そして、もがけばもがくほどそれは鎧に食い込んでいく。まるでその束がバーサーカーにとっての毒であるように、彼は苦しみの叫びをあげていた。
 その様子に呆気にとられていた凛たちに、クロは声を掛ける。
「ぼさっとしてんな! 早く逃げるのである!」
 くるりとジャンプをするとクロは猫の姿に戻り、凛の肩に乗る。凛は時臣手を取り、走り出す。それに続いて桜も雁夜の手を取る。
「……」
 雁夜は、何か言いたげにバーサーカーを見ていた。彼が何故攻撃を仕掛けるのか。そして、何故自分の名を呼ぶのか。だがそれを尋ねたところで、苦しみのまま意味を為さない声を上げるバーサーカーは答えられないだろう。雁夜は桜の手を握り、二人は凛たちを追いかけて走っていった。

「た、ただいま……」
 士郎が一通り洗濯物が乾き、物干し竿から取っていると、疲労感が半端ない凛の帰宅を表す声が聞こえた。
「遠坂、おかえり。買い物は……って、どうしたんだ」
 士郎が洗濯物を抱えながら玄関
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