Third day
[19/24]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ちょっと、桜! 何考えてんのよ!!」
焦った声を出す凛に、桜は黒い笑みを見せる。
「見せる胸がないからって、嫉妬しないでください。姉さん」
「……後で覚えてなさいよ、桜」
二人のやり取りは置いておいて、クロはビシリとバーサーカーを指さす。
「さぁ、クロの美貌に悩殺されるがいいのだっ!!」
その言葉を合図にクロはバーサーカー目掛けて走り出す。バーサーカーは彼女の動きを見ても、動こうとはしない。クロは拳を振り被ると、バーサーカーの顔面目掛けて拳を放つ。
「ひっさーつ! 猫の拳、キャッツパーンチ!!」
直前まで動きを見せなかったバーサーカーは、拳が鎧の先数センチに迫った時に、腕にあった交通標識をクロ目掛けて振った。狂化により上昇したステータスの筋力から放たれる一撃は、クロを捉えるとその体を数メートル飛ばすことになる。
「みぎゃっ。な、中々やるのだ」
だが、先程クロが自分で言った通り、痛みはさほど感じていないようだ。クロはすぐに立ち上がると、また走り出す。
「次は、こっち。必殺、猫の脚、キャッツキーック!!」
バーサーカーの前方二メートルほどの場所で地面を蹴って左足を前に出す。飛び蹴りの態勢でバーサーカーに突っ込んでいくが、またもそれを冷静に対処する。彼の胸に足が届く直前、左の踝を掴み砲丸投げの勢いでクロを投げ飛ばす。五メートルほど飛ばされ、地面に叩きつけられる。みぎゃっと潰れたような声を出す。
クロは間髪入れずに立ち上がるが、その顔には焦りの表情が滲んでいる。
「にゃ、にゃんだと? こうなったら、最後の一撃。猫の頭突き、キャッツズツキ!!」
「そこは、英語じゃないの……」
凛のツッコミも束の間、今度は頭から突っ込んでいくクロに、そろそろ煩わしく思っていたのか、バーサーカーは交通標識を振る。そこから発せられた風の勢いに負け、今度は壁に叩きつけられる。
クロは思いっきりぶつけた腰を押さえながら、ぶつぶつと呟く。
「く、黒いの中々やるな。……クロの必殺技が、全部防がれてしまったのだ」
悔しそうにしていたクロは、立ち上がると凛たちの方へと瞬時に戻ってくる。そして、泣きそうな顔で凛に言う。
「リン、どうしよう」
「こっちが聞きたいっての!」
代わりに戦ってくれたとはいえ、ぶっちゃけバーサーカーに傷一つ負わせることは出来ていない。
「姉さん、そろそろヤバいかもしれません」
邪魔するものがいなくなったため、バーサーカーは真っ直ぐこちらに進んでくる。禍々しい気が近づいてくるのが分かる。咄嗟に凛と桜は、時臣と雁夜を自分の後ろに庇う。
バーサーカーは、四人を見ると大きく体を揺らす。何かに抗っているように、必死に体を支えているようだ。それは、自分たちを獲物と定めていた時とは違う。
「カ……」
バーサ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ