Third day
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兵を足止めしてくれたお蔭で、あちらはもう片付きそうよ』
「どういう意味だ!」
あちら、という言葉を聞き、アーチャーは声を荒げた。彼女は楽しそうな声を隠しもしないで言う。
『あの子たちの元には、黒き狂犬を行かせたの。もう二人とも噛み殺されているかもね』
その後に続く笑い声を聞き、アーチャーは顔を青くする。もし、他のサーヴァントが凛と時臣の元に行っていたら。人間とサーヴァントの違いは明らかだ。普通、サーヴァントは人間が頑張って勝てる存在ではない。
「っ!!」
彼は弾かれたようにその場を後に、走り去っていった。
『あらら。今から行ったところで、完全に手遅れなでしょうに。サーヴァントっていうのは、よく働くものね』
声の主は、心底楽しそうに笑っている。無駄だと分かっていても、何かせずにはいられない、哀れな存在。そんな愚かな存在も、なんて愛おしいのだろうと。彼女はアーチャーの必死な姿を見て、笑っていた。
黒セイバーは、そんな主の元に戻っていくべく、体を粒子へと変え、繁華街の喧騒の中に消えていった。
そして、その狂犬はちょうど凛達の前に姿を現していた。黒い鎧に身を包んだ姿。何だか、ちょっとどころではないヤバさが鎧からでろでろと出て来てしまっている。
距離にして三十mほど。無視したいのだが、無視できない存在感をその狂犬は放っていた。
「■■■■■――――!」
何と言っているか分からない叫びをあげるそれに、雁夜はぽつりと呟く。
「バーサーカー……?」
それが何を意味する言葉なのか、はっきりとは分からない。だが、無意識のうちに口からこぼれていた。
「た、確かにあの理性無くしっぷりはバーサーカーっぽいけど、というか何で新しいサーヴァントが現界してるの? あぁ、もう!!」
先ほどの黒セイバーといい、一体この冬木に何が起きているのかと、頭を抱える凛。すると、彼女の服を時臣がちょいちょいと引っ張る。
「あの、凛さん。あれ、僕らのほうに向かってきてませんか?」
「え、そんなわけ……」
彼女が否定しようとすると、桜も続ける。
「姉さん、あのバーサーカー、何かに気が付いたみたいですよ」
桜の言う通り、バーサーカーはの体は凛たちに向けられている。
「真っ直ぐこっちを見て」
バーサーカーの兜がこちらを向いたのを見て、時臣が言う。
「こっちに向かって猛ダッシュ……」
唸り声を上げながら走ってくるバーサーカーを雁夜が実況する。黙って見ていた凛は三人に指示を出す。
「逃げるわよ!!」
さすがの凛も、バーサーカー相手に戦いを挑むつもりなど毛頭ない。自分以外の三人を守りながら戦うなんて、もってのほかだ。出来るはずがない。だが、自分たちに戦闘意志がなくとも、あちらにあるのは確実のようだった。必死に走るが、どんどんと間合
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