Third day
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が、「遠坂」というこの姓はとても自分に馴染んでいたと感じたのだ。自分が「遠坂時臣」になることは、誰かに決められていたようだ。
時臣の名を聞いた雁夜は、小さく「トオサカトキオミ」と繰り返す。その姿は、何かを確かめているようにも見えた。
「そっか。よろしくな」
「うん。よろしく、間桐君」
ふわりとした笑みを見せた雁夜に、圧倒されながらも時臣も答えた。すると、よそよそしい彼の呼び方に、雁夜は待ったをかける。
「雁夜でいいよ。だから、時臣って呼んでもいい?」
「うん、もちろん」
また、頭の奥がずきりと痛む。まるで、彼との会話が間違っているとでもいうように。
間違っている。
彼と自分は、こんな風にあるべきではない。
時臣の心の中に生まれた違和感は、とある物のせいで一旦は隅に置かれてしまうこととなる。
一方その頃、新都の中心でヒーローショーもどきの戦闘を行っている、黒セイバーとアーチャーはというと。
「なかなかしぶといな、アーチャー」
「君も、簡単には折れてくれ無さそうだ」
奇跡的に繁華街への被害は、道路のひび割れのみと最小限に抑えられている。宝具の剣を使っていながら、ここまで被害が抑えられているのは、二人が加減しながら今までは戦ってたということ。だが、なんとなく雲行きが怪しくなっていく。
二人の纏う気が、今までとは違う
「だが、これで決める……!」
黒セイバーはそう声に出すと、彼女の宝具である約束された勝利の剣を天高く振り上げる。アーチャーがそこから放たれる一撃を予測し、それを避けようと飛んだ時。
その声は響いた。
『そこまでよ、セイバー。何考えてるの』
呆れを含んだ声は、少女のものであった。
「マスター」
黒セイバーが発した言葉で、声の主が何者なのかアーチャーも理解する。声はどうやら自分たちにしか聞こえていないようだった。彼らの周りに集まっていた人々は、二人の戦いが止まったことで、ヒーローショーが終わったと判断したのか、段々と血っていった。
声の主、黒セイバーのマスターは大きくため息をつきながら、黒セイバーに向けてねちねちと文句を言う。
『こんな街中で戦闘を始めただけでも、大変だっていうのに。その上、宝具まで使われたら、こっちだってフォロー効かないわ。そういうの分かって行動してほしいものね。いくらマスターの命令だっていっても、何してもいいって訳じゃないのよ』
「も、申し訳ない」
反省しているのか、大人しく謝った黒セイバー。黒セイバーの様子に、くすりと彼女は笑い声を漏らしていた。
『分かったら、早く帰ってきなさいな。お昼ごはんに、マスタードたっぷりのホットドッグ用意しているんだから』
「はっ」
そうそう、と思い出したように声は続けた。
『それと、セイバー。あなたがここで、その弓
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