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Fate/insanity banquet
Third day
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引き締めなおす。
「マスターは、任務遂行に邪魔となる人物の排除を認めている。アーチャー、ここで一度お前には退場願おう」
 黒セイバーの言葉を合図に、二人の剣を握る手に力が入る。一陣の風が吹いた後、互いの刃がぶつかり合っていた。
 新都の真昼間。いきなり響いた金属音に、辺りの人々は二人の戦いをヒーローショーか何かと勘違いして、わらわらと集まってきたのは仕方がないことだったかもしれない。

 黒セイバーと対峙した場所からかなり離れたところで、二人は一度歩を緩めた。
「凛さん、アーチャーさん一人に任せてしまって大丈夫ですか?」
 自分たちを守るために、足止めとなった彼を心配そうに気遣う時臣。凛も凛で、こんなことを前にもアーチャーに頼んで、ちょっとひどい目に合わせてしまったことを思い出し、少しだけ不安になっていた。だが、すぐに気持ちを入れ替える。
 ――サーヴァントを信じないで、何がマスターよ。
 凛は笑顔で答える。
「大丈夫よ。アーチャーは強いし、それに黒いセイバーも、アーチャーのご飯が食べられなくのは、きっと困ると思うわ」
 お子様舌の彼女は、士郎とアーチャーの作る食事が随分と気に入っているのだ。大事な食料を提供してくれる一人を殺すはずは無い。ましてや、今は聖杯戦争が行われているのではないのだ。
 それはそれとして。せっかく買い物に来たのに何も買わずに帰るというのは悲しいものだ。どこか別の場所で買い物をしようか、と考えていると、彼女の目に見慣れた紫色の髪の少女が映った。
「あれ、桜?」
 凛の前を通り過ぎようとしていた桜は、彼女に呼び止められたことで大きく驚きの表情を見せる。
「ね、姉さん?! ど、どうしてここに?!」
 凛に向き直る時、彼女が背中に誰かを隠したのを凛は不審に思う。
「なによ、何隠してる……の?」
 桜を押しのけて、その誰かを確認する。そこには、白い髪をした時臣と同じくらいの背の少年。彼を見た時に、桜の焦りがつたわってきた。 間桐桜は、その日嫌々ながら間桐家に戻った。折角の休日、出来ることなら衛宮邸でのんびりと過ごすはずが、なぜだかこちらの家に戻ってきてしまった。それもこれも、自分を呼んだ彼女の祖父の間桐臓硯のせいなのだが。
 雅じゃない方のアサシンである、臓硯のサーヴァントのハサンから伝言を貰ったのだ。彼曰く、「孫娘殿が来て下さらないと、魔術師殿が大変な目にあってしまわれる」という。それだけ告げると彼は慌てて間桐の屋敷に帰っていった。
臓硯など、そのまま大変な目にあって、こっちが手を下す前にその命の灯を消してしまえばいいのに、と思う桜は通常運転だ。大体、厄介事ならば家でネットをしている慎二に頼めばいいのだ。などと考えても、何だかんだでもどってしまう彼女。
 そうだ、帰りに本棚にしまいっぱなしにしていた「
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