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Fate/insanity banquet
Second day
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く。
「クロはあいつから、士郎と時臣、そして、これから出会う奴らを守るようにと言われたのだ。でも、あいつが誰なのかは知らないのである。知っているのかもしれないけれど、兎にも角にも、クロにはマリョクが足りないのだ」
 クロの言葉に、凛が確かにと反応を示す。先ほどクロを調べた時に、魔力が足りないことには気が付いていた。
「魔力が著しく枯渇しているのは事実ね。模擬の魔術回路が機能でしないくらいだから、よっぽど大きな術を使ったのね」
 クロは凛の言葉に頷く。だが、どんな術かは分からないと続ける。
「マリョクが溜まれば、きっとクロはあいつのことも、クロの事も思い出せるはずなのだ! でも、マリョクがなくても、士郎と時臣は絶対に守ってやるのだ!」
 頑張るから褒めて、というように士郎にすり寄る。自分から降りたクロを、士郎はもう一度抱き上げてやる。凛はあまり役に役にたたなかったクロの話は置いておいて、時臣のことに話を戻す。
「時臣君も衛宮君の家に住むとして、彼の家の人とかになんて説明しようかしら?」
 いきなり、お宅のお子さんが危ない英霊に襲われているので、こちらで引き取ります、とは言えない。というか、一般人に魔術の話などできるはずもない。
 どうしようか、と悩んでいると時臣が口を開く。
「多分、何も言わずに出て行っても、何も言われないと思います」
 冷静な声だった。それゆえ、士郎と凛は何も言えなかった。
「きっと、僕の存在は今の家では重要じゃない。だから、適当に荷物を纏めてきます。二時間後くらいに、またこの公園で待ってます」
 時臣はそう言い、ぱたぱたと駆け出していった。凛と士郎は、それを見送っていた。彼に言葉はかけられなかった。
 沈黙が場を支配ている中、凛は話し始める。
「ねぇ、士郎。私のお父様は、魔術師だった。遠坂時臣っていう名前のね」
 時臣、という名前に驚きを見せるのは、次は士郎の番だった。凛はそれには反応せずに、続けていく。
「時臣君は名前だけじゃなくて、なんていうか、すごくお父様に似てるって感じたわ。彼の持つ雰囲気も、容姿も。お父様なんだって、思ったくらい。神様が、聖杯戦争を生き残ったお礼に、もう一度お父様に会わせてくれたのかなって。でも、違うのね」
 少し寂しそうに、少し安堵しているように、凛は笑みをみせる。
「全く同じ人間は、存在しない。どんなに似ていたとしても、一度生を終えた人間とは、違う存在」
 凛はそこまで言うと、自分がここで時臣を待つ、と言った。だから士郎は買い物に戻ってほしいと。今から言ったところで、セールの豚バラ肉は無いだろうが、全てをアーチャーに任せっきりだと、後からねちねちと文句を言われるのが目に見えている。士郎は、頼むと声をかけるとその場を去る。
 そして、ほんの少しだけ、思いを馳せていた。もし
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