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Fate/insanity banquet
Second day
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考えると、とても過酷だったのだろう。守ってあげたい。そう思ったのは、士郎だけではなく凛も然りである。
「確実に守ってあげられるかは分からない。でも、俺が助けになれるなら、君の助けになりたい」
 士郎はそう言うと、笑顔で彼に手を差し出す。時臣は、その手を取ろうか迷っていたが、士郎の表情を見ると、自分の手をそこに重ねる。
 そうやって話が進んでいく中、三人の話をじっと聞いていたあるものが動き出した。
「とりあえず、吾輩の話も聞くのである!!」
 士郎の腕からぴょんと抜け出すと、地面に降り立ち凛たちを見上げるクロ。なにやら不服そうな表情に見える
「へっ? クロが喋った?!」
 先ほど言葉を発した時にはいなかった凛は、もちろん驚いた反応を見せる。まぁ、当たり前だが。
「クロは、士郎の猫なのである。クロが喋るのも、当然なのだ!」
 えっへんと胸を張ってクロが答えるが、どうして士郎の猫だと話すことが出来るのか、全く理解できない。
 凛は訝しげに近づき、クロを片手でつまみ上げる。
「にゃ?! 何をするのだ! クロを、汚い雑巾持ち上げるような感覚で持つな――!」
 じっとクロを見つめ、観察する。なぜ人の言葉を話すことが出来るのか、凛はそれが魔術によるものだと踏んだのだ。自分が見ることで、これが何なのか知ることが出来る、そう判断した。
「士郎、これ猫じゃないわ」
「え?」
 一通り観察し終えた凛が下した結論はそれだった。彼女の言葉に士郎は目が点になる。猫ではないと言われても、見た目は完全に猫だ。凛は士郎の動揺を読み取ってか、説明を始める。
「錬金術と投影魔術を組み合わせて作られている、レプリカ。それに、模擬人格や模擬の魔術回路も埋め込まれてる。生物に限りなく近いけど、違う。こんな高等な魔術、見たことないわ。確実に封印指定ものね」
 クロは手足をバタバタと動かし、凛の手から逃れようと必死だ。だが、子猫の足掻きは凛には効果が無い。
「もし、この魔術を一人で作り上げたとしたら、その魔術師はとんでもない魔力と天才的な魔術センスを持ってるはずよね」
 摘まみ上げていたクロを今度は両手でしっかりと持ち、ずいっと顔を近づけて凛は尋ねる。
「あんたを作った魔術師って、一体誰なの?」
「クロは、クロであって、士郎の猫なのである。それ以上でもそれ以下でもないのだ! 大体、クロには記憶が無いぞ!」
 これもまた胸を張って言うのだが、どこに胸を張るポイントがあったのかはいまいち分からない。そして、クロの記憶の無いという点に凛は、使えないと舌打ちを漏らした。
 それに反して、士郎は自分の疑問をクロに尋ねる。
「クロは、さっきのソロモンって名乗った人や時臣君のこと、知ってるのか? 知ってるから、守るって言ったのか?」
 クロは尻尾をくゆらせながら答えてい
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