Second day
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す。
「はっ……?!」
考えもしなかった彼の行動に、士郎は顔を赤くする。それに相対するように、彼は不思議そうにしている。何か問題のあることでもしましたか? と彼の顔には書いている気がする。
そして、彼は士郎の後ろの少年に気が付くと、少年の目線に合わせて腰をかがめた。
「それと、君」
「は、はい」
恐らく今、目の前で起こったことの整理もついていない少年は、その丸い瞳を不安げに揺らしながら、彼を見る。
彼は少年の頭に手を置き、優しく声を掛ける。
「選択の時は恐らく、今だと思うよ。どうか迷わないで」
彼の言葉に、少年は目を見開く。そして、先ほどクロから渡された石を持つ右手をぐっと握りしめる。そして、小さな声で「はい」と答えた。それを見ると、彼は満足そうに笑みを浮かべ、もう一度士郎に向き直る。視線が合わさったと思った時には、彼の姿はもう無く、黒の子猫の姿があった。
「クロ……」
名前を呼ぶと、背を向けていたクロは振り返る。そして、士郎の姿を見つけると、彼の足元に擦り寄る。それが、抱き抱えて欲しいというサインだということは学んだため、抱き上げてやる。
暖かいクロを抱いて、少し冷静になる。さて、どうするかと考える。クロとさっきのソロモンと名乗った彼の関係は、まだ保留にしていてもいいかもしれない。次に気になるのはというと。
「あの」
そう、こちらの少年だ。不安げに青の瞳を揺らしている彼は、先程襲って来た黒セイバーの標的だったようだし、放っておくわけにはいかない。
「俺は、衛宮士郎。名前、まだ聞いてなかったよね」
なるべく緊張を解けるように、優しく声を掛けた。
「時臣と言います」
ときおみ、と彼の名前を繰り返す。初めて聞いたような気がしないのは、自分の勘違いなのだろうか。
「なんか、いきなり襲われてびっくりしてると思うけど……」
彼の顔をよく見ると、青白くなっている。そりゃ、あんな現実離れしたものを見せられたら、普通驚く。血の気も引くと思う。大人でもそうなりそうなのに、彼はまだ子供なのだ。彼はそれでもしっかりとした声で話す。
「驚いてます。でも、ああいうの何だか初めてじゃない気がして。それと、さっきの方も言ってましたけど、僕は選択をしなきゃいけないと思うんです」
「選択?」
一体何を選択するというのか。彼の次の言葉を待つと、とんでもない一言が飛び出した。
「士郎さんの家に、住ませてもらえませんか?」
「え?」
思考がフリーズ。言葉の意味を考える。家に住むって、どういうこと?
「僕は、親戚の家で生活をしているんです。叔母は僕が説得するので、お願いします」
「いや、ちょっと待って。何でそんな話が出て……」
どっかの赤い悪魔がうちに居候を決めたことを思い出す。なんでこう、強引に話を進めたがる人間
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