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Fate/insanity banquet
Second day
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 取り付く島もない彼の言い方に、彼女は心底つまらないという視線を浴びせる。
「それだけの力を持っているのに、やることといえば国の発展を望むだけ。あなたみたいな人間には、勿体ないくらいの力。奪ってやりたいくらいね」
 巨大な力を持っても、それを無闇に振るおうとせず、正しく民のために使う彼の姿は、彼女から見て偽善に見えていた。力は使うものだ。力は振るうものだ。救済のために使う力など、間違っているのだと。
 少年は自分の左手の薬指に嵌まる、一つの指輪を見ながら言う。
「ボクには願いがある。その願いは、この世界でしか叶えられないものだ。だから、勝手にこの世界を壊させたりはしない」
 冷静な感情に流されない声だ。いつも彼の口から紡がれる言葉よりも低い声。彼が強き意志を持って言ったのだということが分かる。
「いつまでもそう言っていられるとは、思わないことね」
 吐き捨てるようにいい、彼女は立ち上がり彼の部屋を後にする。少年はそれを無言で見送った。そして、たった一つの明かりの元へ行き、それを息で吹き消した。真っ暗になった部屋で、彼は窓から覗く夜空の星々を眺めていた。



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