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Fate/insanity banquet
Second day
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ったようで、言葉は続いていく。
「わたくしみたいな女が、いるっていうのに、一度も手を出さないなんて。本当に、つまらない」
 彼の寝台に寝そべりながら彼女は言う。日に焼けた褐色の肌と、それを引き立てる癖の無い長い黒髪。整った顔をしている彼女は、誰もが美しいと声を上げるであろう美女だ。
 だが、そんな女性を前にして彼は迷惑そうに顔を歪めている。
「興味がないんだよ。君がボクの寝室にいるという事実も耐えがたく不快なのだが、追い出さないだけましだと思ってくれ」
「可愛くないわね」
 憎々しげに彼女が吐き捨てると、少年は肩を竦めて見せる。
「こう見えて、もう長く生きているからね」
「夜はまだ長いわ。わたくしと愛を交わすつもりがないのなら、謎かけでもしましょうか、王よ」
 挑戦的な笑みを見せた彼女は、少年を寝台に誘うような仕種を見せる。彼は大きく息を吐き出し、寝台の彼女から一番離れた場所に腰かける。不服そうな顔をする彼女だが、王が謎かけに乗っただけでも良しとするらしかった。彼女は自信ありげに問題を出していく。
「それじゃあ、最初。たくさん入れても、大きくならず、たくさん取っても、小さくならないものは?」
「『海』だ。どれだけ水を入れたり取ったりしても、海の大きさは変わらない」
「自分の母から生まれ、その後に再び自分の母を生むものは?」
「『水と氷』だ。氷は水で出来ており、そしてまた溶けて水に戻る」
「川に水は無く、森に木は無く、都市に建物が無い。どうして?」
「『地図』だからだ」
「どんなときでも必ずやってくるけれど、絶対に到達できないものは?」
「『明日』だ。明日は毎日やってくるが、明日に到達するときにはもうすでに今日になっている」
 矢継ぎ早に出した彼女の謎かけを、一瞬さえ考える暇なく少年は答えた。彼女は舌打ちをして、彼を真っ直ぐ射抜く。
「……。王よ、あなたは本当につまらないわ。少しは考える素振りも見せなさいな」
「褒め言葉として受け取っておこう」
 少年はそう答えると、彼女に寝台から降りるように合図を送る。なんとしてでも彼は彼女と夜を共にするつもりは無いようだ。彼女は潔く立ちあがると、彼に蔑んだ視線をよこす。
「あなたほどの知識があれば、この世界の真理さえも知っているんでしょうねぇ」
 くつくつという笑い声を上げる彼女に、彼は何も答えない。彼女は心底楽しそうに言葉を続けた。
「あなたが、神から授かった正しい判断をするための知恵、そして天使から渡された世界の理が書かれた書の存在。もちろんわたくしは知っていてよ? わたくしは、その二つを手に入れたいんですもの」
 彼は彼女の言葉に僅かな訂正を入れる。
「君はそれを手に入れて、この世界からの逸脱を願っているんだろう? 悪いが、ボクは興味がない。やるなら一人でやってくれ
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