Second day
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怖かったり、辛かったりしないのか?」
士郎の問いかけに、きょとんとした反応を示す。
「どうして? クロはそんなこと思わないぞ」
堂々としているクロの言葉に、士郎は戸惑いを見せる。クロはえっへんと胸を張って答えていく。
「吾輩は吾輩なのだ。今、ここに居るクロがクロなのだ。それ以上でも、それ以下でもない。クロが本当は何なのかなんて、どうでもいい。クロは確かに今、ここに居るのである。ここに居て、士郎と一緒にいる」
クロはにゃおんと声を上げて鳴く。
「吾輩は、それで満足なのだ」
そう言ったクロの顔は、満足そうなものだった。自分自身がここに存在している事実は変わらない。それは、もっともなことだと思う。当たり前のようで、人が簡単には考えられないこと。それをはっきりと言うクロが、ほんの少しだけ眩しく感じた。
あの後、家に帰った士郎は案の定アーチャーにねちねちとまるで嫁と姑のような感じで文句を言われた。最初のうちは自分にも非があると認めていたので、静かだった士郎だが、ある一定時間を超えるとただの喧嘩へと発展していった。それを微笑ましくも他の面々が見ているところに、凛が時臣を連れて帰ってきた。そこでアーチャーも交えて、衛宮家の居候が集まったところで時臣の紹介をする。
「ということで、今日から家で暮らすことになった時臣君。よろしくな」
時臣を見て、桜は凛に小声で話しかける。
「姉さん、あの……」
「大丈夫よ、桜。いずれ時臣君の戸籍も、遠坂家の養子にするつもりだし、抜かりはないわ。ふふふ」
「誘拐とかじゃないですよね、姉さん」
自分も言えたものではないが、今の姉は十分に危険な存在な気がしたのだ。そんな凛に不安を覚えているのは、アーチャーもまた然りだ。
「時臣……」
どこかで聞いたことのあるような気がすると、思っていたのはセイバーだ。恐らく聖杯戦争関連なのだろうが、思い出せそうに無い。まぁいいか、と思う彼女は随分と緩くなっている。
「いきなりですが、よろしくお願いします」
大きめの旅行バックを持ったまま、ぺこりと頭を下げる時臣に、士郎は優しく声をかける。
「ここには君を守ってくれる強い人達がいっぱいいるから、安心して大丈夫だよ」
士郎の言葉に、彼は少しほっとしたように表情を緩めた。一通り自己紹介の終わった後、衛宮邸の有り余る部屋の中から時臣の部屋を決めたり、夕飯の鍋の用意をしたりと、休日の夜は更けて行った。
その夜、士郎は再び夢を見た。
この前見た夢に出てきた少年の姿がまた、そこにはあった。寝室と思われる部屋を明るくする小さな火。少年はその火をじっと見つめていた。ゆらりゆらりと揺らめく火を飽きることなく、ずっと。
「あなたって、本当につまらないわ」
大人の女性の声だった。その言葉は少年に向けられたものであ
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