Second day
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、衛宮切嗣に似た少年が自分の前に現れたのなら、と。自分はその存在に何を求めるのだろうかと。その問いかけへの答えは不透明で、すぐに士郎は頭からそのことを消し去った。
結局、アーチャーと共に行くはずだったスーパーに彼の姿は無かった。これは後でかなり文句を言われると分かり、内心大きくため息をついていた。そして、スーパーでの買い物が無くなった時点で、士郎は暇になっていた。
このまま家に帰ってもいいのだが、そうすると赤い弓兵から昼間から夕飯の支度の時間までねちねちと小言を言われるのが分かっているため、なるべく避けたい。どうしようかと考えていると、彼の腕の中の子猫が顔を彼に向けながら尋ねた。
「シロウ。ご飯は食べないのか? 吾輩は、お腹が空いたのである!」
普通に喋り出したクロの口を、慌てて士郎が塞ぐ。結構大きな声で伝えられた言葉に、周りに聞こえていやしないかと不安になるが、どうやらその心配は杞憂に終わったらしい。ほっと息をつくと、不満そうにクロががじがじと士郎の指を甘噛みしていた。
「ごめん、ごめん」
塞いでいた手を退けると、クロは大きく息を吸う。そして、ご飯と書かれたキラキラとした目を士郎に見せていた。
「うーん、昼ご飯か……」
クロを連れたままでは、普通の店には入れない。そこで士郎は、以前間桐慎二が言っていた、新しいテラスのあるカフェの存在を思い出す。テラスであれば、、ペットを連れていても文句を言われることは少ないだろう。士郎はそう考えると、彼が言っていたはずの場所へと足を進めた。
開店から少し経っていたそのカフェは、休日のお昼でも少し人の入りが控えめだ。真冬なのに、テラスをお願いしますと言った時の店員の反応は、自分がもし店員だったら同じ反応を示しただろうと思う。ホットコーヒーとランチのサラダとスープ付きのサンドイッチのセットを頼み、会計をする。クロは店内に入れてはまずいので、外のテラスで待っている。トレイに乗る注文の品をこぼさないよう、気をつけて席まで運んでいく。
士郎の姿を見つけたクロは、彼が運んでくる食べ物に期待を寄せて、目を輝かせていた。
「ご飯、ご飯!」
嬉しそうにするクロは、テーブルの上に乗っかる。士郎はクロのために、自分のサンドイッチの具のハムを渡してやる。
「ご飯なのだっ!」
クロが幸せそうに食べる様子を見ると、衛宮家の腹ペコ王の存在を思い出す。食べ物にとっての一番の幸せは、セイバーやクロのようにおいしそうに食べられることであろう。
士郎はコーヒーカップを手に持ちながら呟く。
「それにしても、クロが魔術で作られた存在、なんて中々信じられないな。普通に見たら、どこにでもいる黒猫だしな」
クロはぱちりと目をしばたたかせる。士郎はクロを見ながら続ける。
「クロは、記憶が無いんだろう。それって、
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