Second day
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着替え始めた。
「手袋してきた方が良かったかもな」
商店街を歩きながら、士郎はぽつりと呟く。冬木が温暖な気候とはいえ、真冬のこの時期はさすがに寒い。
「その肩に乗っている猫を抱えればいいのではないか」
横に立つアーチャーがそう言う。ちなみにアーチャーはもちろん私服の黒いシャツである。仲がいいとは言えない二人が一緒に出掛けているのは、お一人様二パックまでの豚バラ肉を買うためだ。
「クロが、肩の方がいいらしいんだよ」
士郎の右肩でくつろいでいるクロ。そこから引っぺがすのも可哀想なため、士郎は冷たくなった指先に息を吹きかける。
「桜が実家に戻ってるのは知ってるけど、遠坂は何してるか知ってるのか?」
どうせならこの買い物で出来るだけ多くの肉をゲットするために彼女にも手伝ってもらいたかった、と士郎は思っていた。衛宮家の食料の無くなり具合は凄まじい勢いなのだ。いや、冗談抜きで。
「あぁ、凛か。うむ……」
アーチャーは歯切れの悪い声を漏らす。その反応で、彼女がまたよからぬことでもやらかしているのではないか、と勘ぐってしまうのは自分のせいではないと思う。
「まぁ、夕飯までには帰ってくるだろうから、心配は無いか」
「あぁ、大丈夫なはずだ」
アーチャーの強張った表情を見て、一体凛が何をしているのか恐ろしくなった。と、士郎は彼との会話に集中していて、前から来た影に気が付かずにぶつかってしまった。僅かに感じた衝撃で自分が、まだ小さい子供と接触したのだと分かる。
「あ、すみません!」
士郎が見下ろした先に立っているのは、小さい少年だった。小学校の低学年くらいの身長であり、ゆるくウェーブのかかった茶色の髪と、空を映したような青の瞳を持っている。赤の半ズボンに白のシャツ、そして青のリボンタイを着ている姿は、まるで貴族のようだと士郎は感じた。
「大丈夫だよ。君こそ、怪我無い?」
士郎が話しかけると、こくりと頷く。
「僕なら平気です。あ……の、それじゃあ」
少年は慌ただしくパタパタと駆けて行ってしまう。
「何か、遠坂に似てた気がする」
駆けて言った少年を見て、士郎はぽつりと言葉を漏らす。それを聞き、ぎょっとしたようにアーチャーが士郎を見た。
「衛宮士郎、お前の目は大丈夫か?」
「なっ、どういう意味だよ!」
アーチャーは咳払いをして、自分の主人を思い浮かべながら語り始める。
「よくよく考えてみろ。先ほどの少年、大人しく、どことなく優雅な雰囲気を持っていた。凛とは全く比べ物にならないくらい、いい子だっただろう。似ているなどというのは、彼に失礼だ」
真顔で言うアーチャーを見て、ここにはいない赤い悪魔の存在を思い出す。
「お前、遠坂にそれ聞かれたら殺されるぞ……」
そう言ってまたスーパーに向かおうとした時、地面にき
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