First day
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じゅうを!」
絶望に満ちた顔で、セイバーはわなわなと震えている。当の本人、本猫?はというと、満足そうにおまんじゅうを食べている。どうやら煮干しだけでは飽きてしまったようだ。セイバーを落ち着かせねば、と思い士郎は一つの案を提案する。
「セイバー、また買ってくるからさ。な、落ち着いて」
「いえ、許せませんっ。ええい、そこに直れ!」
自身の剣を取り出し、構える彼女に必死に士郎は叫んだ。
「セイバー。頼むから剣はしまってくれ!」
こんなところで宝具をぶっ放されてしまったら、たまったものではない。軽く家くらい吹き飛んでしまうので、何とか明日また和菓子を買ってくることで話は落ち着いた。士郎の財布の残りが少なくなるであろうことは、言わずもがなである。
まんじゅう騒動もひと段落し、ライダーが皆に湯呑に入ったお茶を注いでいてくれる。それにありがとうと、礼を言うとライダーは彼に問いかけた。
「この猫に名前はつけ無いのですか、士郎?」
彼女に問いかけられ、そういえば考えていなかったと気が付く。彼の膝の上でごろごろと転がっていた子猫は、ちらりと士郎をうかがっている。自分の名前に期待しているようだ。
「そういえば忘れてたな。名前か……」
うちで飼うとなればやはり名前は必要だ。だが、すぐにパッと思いつくものでも無く。口元に手を当てて考えていると、どら焼きをほおばっているセイバーが提案する。
「シロウ、この猫は黒いのでキャビアなんてどうでしょう」
「セイバー、涎が隠しきれてないぞ」
一度食べてみたい、と顔に書いてあるセイバーに冷静なツッコミを入れる。次に凛が名前の候補を上げた。
「ココアとか、ショコラとかどうよ、士郎」
「遠坂、小学生並みのネーミングセンスだよ、それ」
プードルやダックスフントに、よく付けられていそうな名前を聞き、士郎はあきれた声を出す。
「どういう意味よ!」
憤慨する凛を隣に座る桜が、まぁまぁと宥めている。
「ふふふ、君たちは分かってないわね」
「藤ねぇも、何か考え付いたのか?」
お茶をすすりながら答える大河に、期待の視線を寄せる。
「こういうのは、変にカタカナの横文字を並べたりするのはよくないの。いかに、この猫ちゃんが馴染みやすい名前を付けてあげるかが大事なんだから」
「おぉ!」
いつもの家での大河からは想像のつかない、先生の顔の意見に誰もが感嘆の声を上げる。
「では、タイガの考えたこの猫の名前というのは?」
「黒猫だから、クロでいいんじゃない」
あっさりと告げられた答えに、一同は沈黙する。
「それって、犬にポチとか猫にタマとか。白い犬猫に、シロって付けるのと変わんない気が……」
士郎が沈黙を裂くようにツッコミを入れると、大河はウィンクをしながら笑みを見せて言う。
「こまけーこ
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