暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
運命の決着編
第134話 泣きながら進む
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「そういうわけだから、咲ちゃん。ここでお別れだ」

 いやだ。いかないで。いっしょにいて。

 咲は喉まで出かけた言葉を、涙と一緒に呑み込んだ。
 これで地球は救われる。地球で生きていきたい咲には、救ってくれた紘汰と舞の選択を責める権利はない。

「紘汰くんと舞さんは、これから、一から新しいセカイを創るのよね。それって、すごいタイヘンなことなのよね」
「ああ。それでも、俺はそんな未来に往きたい」
「そっか。うん。ならしょうがないね」

 咲はびしっ、と二人を指差した。

「舞さんのこと泣かせないでよ。それと、ハンパに投げたりしたら、絶対、ゆるしてなんかあげないんだからっ」

 紘汰も舞もきょとんとし、それから、とても素敵な笑顔を揃って浮かべた。




 ――紘汰と舞が旅立つのを見送ってから、咲はずっと膝枕していた戒斗を見下ろした。

「聞いてた? 戒斗くんのユメ、紘汰くんと舞さんがかなえてくれるって」

 戒斗は静かに目を開けた。

「いつから気づいてた」
「さいしょっからに決まってるじゃん。あそこでシュショーに紘汰くんに負けるとか、アヤしすぎるにもほどがあるし」
「本当に可愛げのないガキだな、お前は。――俺に何をした。さっきの爆弾か?」
「うん。さっきのね、紙吹雪あびた人を強化する効果があるの」

 咲はダイズの錠前を取り出して戒斗に見せた。

「戒斗くん、オーバーロードになったから、回復力は人一倍あると思うし、さっきのでそこんとこ強化されたんでしょ。ぶっつけ本番だったけど、うまく行ってよかったぁ」
「よりによって世界の運命を決する時に、ぶっつけ本番か。やはりとんでもないガキだな」
「ガキじゃなくて、室井咲って名前があるし。前にも言ったじゃん」
「どうしてくれる。葛葉と舞が全て持っていった中で、俺は一人残された。責任取れるんだろうな」
「あんがいとれるかも、って思ってたり」

 咲はヒマワリの錠前を出した。

「あたしもジュグロンデョとかゆーのになっちゃったし。フェムシンムの戦士と天使。おにあいだと思わない? あたしたち」
「……死んでも御免だ」
「ひどーい! なんか間があるのがリアルっぽいし!」

 戒斗は溜息をついた。そして、咲が喚き終わってから、また口を開いた。

「お前は、今の世界のままでも人は変われる、と言ったな。お前自身、過去に、変わったんだと」
「うん。インシツないじめっ子からビートライダーズのリーダーに大変身。ヘキサのおかげでね」
「そうか――」

 戒斗は顔を顰めながらも起き上がった。

「ちょ、まだキズぜんぶなおってないのにっ」
「いつまで空元気を続けるつもりだ」
「――、え?」
「葛葉の言葉をもう忘れたか?」
「だっ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ