運命の決着編
第133話 光を灯しにいく
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ャクチャにしたっていうの!?」
咲はつい叫んでいた。この男の――ヘルヘイムのせいで、初瀬が、湊が死に、仲間たちはたくさん傷ついた。
「避けられない結末だ。どんな種族も文明も、いずれは滅び、次の世代に座を譲る」
進化のための闘争などいらなかった。劣った種でいいから、咲はこのままがよかった。けれどもそれを叫ぶ権利は、選ばれる資格のない咲にはなかった。
「さあ! 新たなる人類としてお前たちはどんな形でこの世界を終わらせる?」
「それは世界を塗りつぶす力。俺が守ろうとしたもの全てが犠牲になる。冗談じゃない。お断りだ」
「甘ったれたことを言うな! 古い世界を生贄にすることでしか、お前たちに未来はないんだぞ」
「ここで未来がないのなら、別の世界を探せばいい。諦めない限り道はある」
紘汰が手を振り上げた。すると、巨大なクラックが上空に開いた。
巨大クラックに、ヘルヘイムの植物や大量のインベスが吸い上げられていく。
クラックの先に目を凝らす。そこにあったのは、光も水もない暗黒の惑星。紘汰はそこに、ヘルヘイムの植物とインベスの新しい世界を一から創造すると宣言した。その困難を示唆するサガラの言葉にも揺るがない。
「大丈夫さ。俺は一人じゃない」
紘汰が差し出した手に、舞が手を重ねた。
「一緒なら何も怖くない。どんなに苦しくても、きっとあたしたちは乗り越えていける」
この命溢れる青い惑星を捨て、舞だけを伴に、未だ暗闇しかない世界へ、光を灯しに行くのだと。紘汰ははっきりと答えた。
「……“蛇”と呼ばれた俺がこう言うのもおこがましいが」
サガラはふり返り、大仰に両手を広げた。
「産めよ。増えよ。地に満ちよ。さもないと、どうにもならんぞ」
言いたいことを言い終えたからか、サガラは空気に滲むように消えた。
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