暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
運命の決着編
第132話 降り注げ! ダイズアームズ
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 ヘリコプターから飛び出した月花は、手近なビルの屋上に着地した。

 取り出したのは、コアスロットルとピーチエナジーロックシード。紘汰から「戦友の証」としてずっと借りっぱなしだった物だ。

 月花はコアスロットルを戦極ドライバーに装着し、ピーチエナジーの錠前を開錠してセットした。

《 ヒマワリアームズ  ミックス  ジンバーピーチ  ハハーッ 》

 羽根が生えた桃模様の陣羽織が装甲される。すぐさま耳を澄ました。


 ――……の人間では決して実現できない世界を、俺が創る。


(見つけた! 戒斗くんの声だ)


 ――弱者が踏み躙られない世界だ。


『あ……』

 月花は――室井咲は、駆紋戒斗の過去に何があったかを知らない。それでも、今の戒斗の言葉に嘘はない、それこそが戒斗が焦がれ、求めてきたものだったのだと分かった。


 ――誰かを虐げるための強さを求めない、そんな命でこの星を満たす。舞と一緒に、知恵の実を使って。
 ――今の世界で、それは無理だって言うのか。


(紘汰くん!)


 ――それが俺の生きてきた時代だ。誰もが強くなるほど、優しさを忘れていった。
 ――強くて優しい奴だって大勢いた。みんなこの世界を守ろうと必死だった。
 ――そんな奴から先に死んでいった。優しさが仇になって、本当の強さに至れないまま終わった。お前もそうだ、葛葉紘汰。
 ――いいや。俺はお前にだけは負けない。お前を倒して、本当の強さを証明してみせる。


 続く、ドライバー装着音と、オレンジアームズとバナナアームズの変身音声。そして、武器がぶつかり合う音。

(行かなきゃ)

 その想いに衝き動かされるまま動いた。
 月花はヒマワリフェザーを広げて空へ飛び立った。




 ジンバーピーチの性能で紘汰と戒斗の声を辿りながら空翔け、ついに月花は彼らの戦場へ辿り着いた。

 鎧武は極アームズとなり、バロンはロード・バロンとなり、全力を互いにぶつけ合っている。上まで闘気が昇ってくる。まるで火口の真上にいるようだ。

(ジュグロンデョは勝利の天使。フェムシンムではそう伝わってた。あたしがヒマワリアームズの羽根、ヘキサが顔で、たまたま同じだったから、王さまたちはそういうふうにあたしたちを見てたけど。それが地球でも同じなら、あたしは)

 月花は上空にいるまま、唇を引き結び、戦極凌馬が送りつけて来た最後のロックシードを出した。

『あっ』

 地上で、ロード・バロンが杖剣で鎧武を袈裟斬りにした。極彩色のエネルギーが鎧武から溢れて飛び散る。


 ――終わりだ。


 膝を突いた鎧武に、ロード・バロンが杖剣を大上段に振り上げた。

(終わらせる、もん
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ