東方
【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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のだから。
「今この場で決めなさい。服従か死か。どちらでも構わないわよ」
驚くべきことに、交渉の場にはレミリア自らが来ていた。
両者とも組織の長だが、圧倒的に紫の立場の方が劣っていた。
何とか幻想郷の「あるべき姿」を保とうと交渉したが、にべもない。
すぐに決断しろと言われた紫も腹を決めた。
「降伏するわ」
「話の分かる妖怪でよかったわ。わざわざ私が赴いた甲斐があったわね」
レミリアは、紫の降伏を快く受け止めた。
転生したときの最初の願い――幻想郷を赤く染めることができる。
この事実に彼女は有頂天だった。
原作キャラに会いたいなあ、とミーハーな気分になりながら、帰国した。
本当は幻想郷めぐりをしたかったが、一応敵地であるのと、仕事が立て込んでいて、泣く泣く断念したのである。
博麗大結界の誤作動の問題は、まだ残っている。
が、幻想郷側が、ソ連人を保護するように義務づけられた。
これについては、紫も当然の要求だと考えており、早急に博麗大結界の正常化が求めれた。
多少不本意な形でありながら、とりあえず幻想郷の未来は守られた。
八雲紫はそう思って安堵していた――
――幻想郷に拉致されたソ連人が過激派に殺害されるまでは。
◆
「莫迦な真似をしてくれたものね」
いま、赤の広場には100万人の赤軍が待機している。
これから、幻想郷へと侵攻するのだ。
つい先ほど、レミリアが演説を終えたところだった。
レミリア書記長自らが陣頭指揮をとっているとあって、士気は非常に高かった。
「同志が殺害されたのです。きっちり報復しましょう、お姉さま」
傍らにはフランドールの姿がある。
本来の仕事は部下に任せて、戦争に参加するつもりなのだ。
パチュリー、咲夜も来たがったが、仕事があるため断念した。
彼女たちが居るのは、大本営「紅魔館」である。
すべてが赤く、ソ連を象徴する建物、とされていた。
本当は、レミリアが趣味で原作を再現しただけだったりするが。
「そうね。幻想郷を赤く染め上げましょう」
かくして、幻想郷は革命された。
ソビエト社会主義幻想共和国連邦の一部となり、幻想郷自治区となったのである。
新たな領土を手にしたソ連が、世界革命を実現するのか。
それとも、一国社会主義を貫くのか。
運命はレミリアのみが知っている。
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