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【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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大切よね。軍部はどうなの?」

「軍部もご命令があれば、すぐさま50個師団ほど展開できます」


 ソ連は、欧州から極東にかけて、ユーラシア大陸の北部を占める広大な領土を持っている。
 それゆえ、広い領土を守るために、大量の軍隊を必要とした。
 防衛の主体となる陸軍はとくに充実しており、機械化狙撃師団――ソ連では歩兵師団を狙撃師団と呼ぶ――400個師団、装甲師団100個師団を持ってる。
 総数にして、1000万人を超える、まさに陸軍大国であった。
 軍のトップである咲夜は、50個師団つまり100万人程度を常時展開可能にしていたのである。


「さて、では幻想郷に対するアプローチを考えましょうか」


 レミリアが、会議の本題に入ることを告げる。


「すぐにでも侵攻し、解放するべきです。人と妖怪の共存共栄を謳いながら、妖怪と人は敵対しています。そのうえ、経済は資本主義という悪魔の思想のようです。存在自体が害悪の屑ですよ」

「私も同志フランドール様のご意見に賛成です。国力はわが偉大なるソ連が圧倒しております。ご命令とあらば、すみやかに解放できると考えます」


 フランドールと咲夜は、過激な意見を出した。
 それに対し、パチュリーは、「別に侵略する必要はないんじゃない?」と言って反論した。


「別に侵略しなくても、外交で片が付くわよ。力の差がありすぎるのだから、こちらが一方的に注文できるわ」


 彼女は魔法省の長官だが、外務省の長官も兼任している。
 知性派の「動かない大図書館」の面目躍如だった。
 それゆえか、穏健派の代表になっている。

 その後も意見が噴出し、フランドール+咲夜VSパチュリーの構図で議論が進んだ。
 ある程度、選択肢が決まったところで、書記長のレミリアの決断を仰いだ。


「どちらの意見も一理ある。私が目指すのは、幻想郷を赤く染め上げることよ。そのためなら、手段は問わないわ。だから、まずは手間のかからない威圧外交をして、ダメだったら侵攻するとしましょう」


 この瞬間をもって、幻想郷の運命決まったのである。





 八雲紫は後悔していた。
 レミリア・スカーレットは、穏健派であり、こちらへの要求も軽いものだと考えていたのだ。
 ソ連からの要求は、ただ一つ。
 共産主義を広め、共産主義に基づいて幻想郷を管理すること、だった。
 とても受け入れられるような要求ではない。


 妖怪は人を襲い、人は妖怪を退治する
 

 この古き良き時代を現代に再現したのが幻想郷なのだ。
 独裁者が君臨し、強引に妖怪と人間を共存させるのではない。
 自然な形を残したかったのだ。
 だから、管理者である紫も、基本的には放任していた
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