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【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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のは、八雲紫。
 幻想郷の創始者にして管理者であり、神出鬼没の隙間妖怪である。


「最近、急増している外からの妖怪について――博麗大結界についてよ」

「誤作動しているわね」

「……なぜそう思うのかしら?」

「勘よ」


 にべもない答えに面をくらう紫だが、いつものこと、と流した。
 それに、この巫女の勧はよく当たるのだ。


「そうね。この問題は、私の愛する幻想郷の存亡の危機なのよ」

「そんなヤバイ話なのか!?」


 いきなり始まったスケールの大きい話に、魔理沙は驚く。
 そんな彼女に、やんわりと紫が言う。


「迷い込んだソ連人は、記憶を消したうえで、私の手で帰しているわ。だから、いまはまだ大丈夫」

「でも、いつか気づかれる日がくる。でしょう?」

「霊夢の言う通り。ソ連にバレたら――」


 ごくりと唾を飲んで、魔理沙が問いかける。


「――バレたら?」

「幻想郷は滅亡するわ」





「同志レミリア様。これが、調査結果です」


 拉致問題に関する会議が開かれた。
 パチュリーの報告者を、レミリアに渡すのは、十六夜咲夜だった。
 陸海軍人民委員――国防省長官のようなもの――のトップである。
 つまり、軍部の頂点であり、莫大な権力を握っている。
 どれほどレミリアが咲夜を信頼しているのか、端的に示していると言えよう。


 十六夜咲夜は、時を操る程度の能力を持っており、その力を恐れた両親に捨てられた孤児だった。
 彼女を救い上げたのは、レミリアであり、当初はメイドとして働くようになった。 
 やがて、その忠勤ぶりが評価され、ついには、ソ連の幹部にまでなったのである。
 彼女のサクセスストーリーは、ソ連国内でも人気があり、ちょっとした英雄扱いである。
 当人は、レミリアのメイドであることを誇りに思っており、いまだに常にメイド服を着ている変わり者でもあった。
 

「『幻想郷』ねえ。噂には聞いていたけれど」

「やっと尻尾をつかんだわ。たまたま、拉致の瞬間が監視カメラに映っていたお蔭ね」

「さすがは同志パチュリー。いい仕事をしてくれる」


 魔法省長官のパチュリー・ノーレッジが、誇らしげに言う。
 レミリアの褒め言葉に、ありがとう、とまんざらでもなさそうである。
 パチュリーは、レミリアとフランドールが旅を始めた当初からのつきあいであり、大親友である。
 それゆえ、レミリアが謎の拉致事件に心を痛めているのを察しており、早く解決しなければ、と意気込んでいた。


「KGBでは、潜在的な敵対勢力として幻想郷を監視しておりました。情報は全て筒抜けです」

「素晴らしいわ、同志フラン。情報は
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