東方
【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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のは、八雲紫。
幻想郷の創始者にして管理者であり、神出鬼没の隙間妖怪である。
「最近、急増している外からの妖怪について――博麗大結界についてよ」
「誤作動しているわね」
「……なぜそう思うのかしら?」
「勘よ」
にべもない答えに面をくらう紫だが、いつものこと、と流した。
それに、この巫女の勧はよく当たるのだ。
「そうね。この問題は、私の愛する幻想郷の存亡の危機なのよ」
「そんなヤバイ話なのか!?」
いきなり始まったスケールの大きい話に、魔理沙は驚く。
そんな彼女に、やんわりと紫が言う。
「迷い込んだソ連人は、記憶を消したうえで、私の手で帰しているわ。だから、いまはまだ大丈夫」
「でも、いつか気づかれる日がくる。でしょう?」
「霊夢の言う通り。ソ連にバレたら――」
ごくりと唾を飲んで、魔理沙が問いかける。
「――バレたら?」
「幻想郷は滅亡するわ」
◆
「同志レミリア様。これが、調査結果です」
拉致問題に関する会議が開かれた。
パチュリーの報告者を、レミリアに渡すのは、十六夜咲夜だった。
陸海軍人民委員――国防省長官のようなもの――のトップである。
つまり、軍部の頂点であり、莫大な権力を握っている。
どれほどレミリアが咲夜を信頼しているのか、端的に示していると言えよう。
十六夜咲夜は、時を操る程度の能力を持っており、その力を恐れた両親に捨てられた孤児だった。
彼女を救い上げたのは、レミリアであり、当初はメイドとして働くようになった。
やがて、その忠勤ぶりが評価され、ついには、ソ連の幹部にまでなったのである。
彼女のサクセスストーリーは、ソ連国内でも人気があり、ちょっとした英雄扱いである。
当人は、レミリアのメイドであることを誇りに思っており、いまだに常にメイド服を着ている変わり者でもあった。
「『幻想郷』ねえ。噂には聞いていたけれど」
「やっと尻尾をつかんだわ。たまたま、拉致の瞬間が監視カメラに映っていたお蔭ね」
「さすがは同志パチュリー。いい仕事をしてくれる」
魔法省長官のパチュリー・ノーレッジが、誇らしげに言う。
レミリアの褒め言葉に、ありがとう、とまんざらでもなさそうである。
パチュリーは、レミリアとフランドールが旅を始めた当初からのつきあいであり、大親友である。
それゆえ、レミリアが謎の拉致事件に心を痛めているのを察しており、早く解決しなければ、と意気込んでいた。
「KGBでは、潜在的な敵対勢力として幻想郷を監視しておりました。情報は全て筒抜けです」
「素晴らしいわ、同志フラン。情報は
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