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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-20
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落ちて壊れて、何の感情もなくだれかの所有物になってしまうのもいいかもしれない。


 自分で考えておきながら最低だと乾いた笑みがこぼれた。少し偏屈な笑いだけど久しぶりに笑ったのかもしれない。しばらく動かしてなくて凝り固まっていた頬の筋肉が痛い。と同時にまだ自分に痛みを感じることが出来たのかと驚く。こんなことで驚く自分が可笑しかった。


 ――――ふと、風を感じた。
 窓を開けた覚えはないから、医務室の先生が開けて行ったのかと思うがそれは違う。先生は、鈴音の様子を見ると精神的に参っているようだから休んでいきなさいと言って出て行ったはずだ。その間に窓を開けたなんてことはなかった。じゃあ誰が。


 不審に思った鈴音が下に落としていた視線を窓の方に向ける。その際に風に煽られて今は解いている長い髪が顔にかからないように手で押さえる。窓の方には、窓のサッシに座ってこちらを見ている女性がいた。あまりに突然でいきなりのことにただ茫然とするしかなかった。
 薄紫色の髪を腰に届くぐらいに長く伸ばし、アリスの国のような不思議な服装をした。頭にうさみみ状の機械をつけている女性がいる。不思議なのだが、全く違和感を感じさせない女性がいたのだ。そんな女性がいきなり現れたら、誰だって考える事を止める筈である。鈴音もそれに外れることなく呆けてしまったのだが、すぐに我を取り戻していた。この辺はさすが代表候補生といった方が良いのだろうか。


「うんうん! 悩んでるね。悩んで悩んで、悩みに悩みまくってるね」
「……誰よ、あんた」
「およ? 私を知らないの? 今時珍しい子もいたもんだね。私は嫌いじゃないよ。……それじゃあ、自己紹介しようか。まず君から、はい」
「……鳳鈴音よ。中国人(チャイニーズ)で代表候補生をやってるわ」


 鈴音は女性に促されて自己紹介をした。自分のことと専用機を持っていること。なんだか相手も知っていたようで聞かれたから答えた。そんなところであるのだが、いまだに正体不明な女性。今日は学年別タッグトーナメントだから部外者もいるのはしょうがないことなのだが、ここは一般の立ち入り禁止区域だ。侵入者をして伝えてもいいのだが、鈴音に話があるようでそれを聞いてからでもいいかと判断する。
 その女性の名前を聞いて驚くが、よくよく思い出してみると、どこかで見たことある人だった。


 篠ノ之束。若くしてこの世を変えてしまった。天才科学者にして、世界規模の戦犯。一人でISの設計から組み立て、プログラミングまで行える人の域を超えている人物。そんな大物がたかが一代表候補生に何の用なのか。とりあえず話を聞いてみないことには分からないので、用件を聞いてみる。


「おおそうだった。ねえリンリン。強くなりたい?」
「……! 当然」


 
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