東方
共産主義という名の妖怪
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リアへの行き過ぎた個人崇拝も加わる。
ソ連の都市には、必ずレミリア像が立っている。学校の教室には、必ずレミリアの肖像画がある。
独裁者の宿命かもしれなかった。
この過激派が、フランドール一人だったらまだよかった。
問題は、彼女以外のソ連の幹部にも過激派が多いということだ。
下僕、あの花妖怪やきゅうりマッド、バカ妖精のせいで、妹が染まってしまったのだ。
と、彼女は思っているが、実際はフランの方が感染源である。
事あるごとに過激な主張をするようになったフランドールを見て、レミリアは、ひっそりと涙を流した。
◆
「最近、外からの妖怪が多いわね」
博麗霊夢は、縁側でお茶を飲みながら、のんびりとしていた。
脇がない巫女服というパンクなスタイル――つまりいつも通りだった。
「ああ、『拉致だ』とか『国に返せ』とか言う連中ばっかりだよな」
つぶやきに答えたのは、とんがり帽子をかぶったいかにもな白黒魔女、霧生魔理沙である。
ここ最近、幻想郷に入ってくる妖怪が急増していた。
外と内を隔てる博麗大結界の維持に関わる霊夢は、嫌な予感がしていた。
「外の国、えっと、なんだっけ」
「『ソビエト社会主義幻想共和国連邦』だってさ」
「そうそう。よくそんな舌をかみそうな名前を憶えているわね、魔理沙」
「里に行ったとき、外来人に聞いたんだ。なんでも、人妖が共存している珍しい国らしい」
「勝手に国民を浚って大丈夫なのかしら」
「だめだろ」
人間と妖怪が暮らす楽園。
それが、幻想郷であり、霊夢は、「楽園の素敵な巫女」の役割を担っている。
すなわち、幻想郷を守ることが彼女の仕事といえた。
その幻想郷が危機に瀕しているような予感が、ずっとするのだ。
突然増えた外の妖怪。これが原因かもしれない。
「その通りですわ」
「うおっ、びっくりした。突然出てくるなよな」
「何の用かしら、紫」
突然、姿を現したのは、八雲紫。
幻想郷の創始者にして管理者であり、神出鬼没の隙間妖怪である。
「最近、外からの妖怪が急増しているのは、知っているわね。博麗大結界はどうなっているのかしら?」
「誤作動しているわね」
「……なぜそう思うのかしら?」
「勘よ」
にべもない答えに面をくらう紫だが、いつものこと、と流した。
それに、この巫女の勧はよく当たるのだ。
「そうね。この問題は、私の愛する幻想郷の存亡の危機なのよ」
「そんなヤバイ話なのか!?」
いきなり始まったスケールの大きい話に、魔理沙は驚く。
そんな彼女に、やんわりと紫が言う。
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