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東方
共産主義という名の妖怪
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リアへの行き過ぎた個人崇拝も加わる。
 ソ連の都市には、必ずレミリア像が立っている。学校の教室には、必ずレミリアの肖像画がある。
 独裁者の宿命かもしれなかった。


 この過激派が、フランドール一人だったらまだよかった。
 問題は、彼女以外のソ連の幹部にも過激派が多いということだ。
 下僕、あの花妖怪やきゅうりマッド、バカ妖精のせいで、妹が染まってしまったのだ。
 と、彼女は思っているが、実際はフランの方が感染源である。
 事あるごとに過激な主張をするようになったフランドールを見て、レミリアは、ひっそりと涙を流した。





「最近、外からの妖怪が多いわね」


 博麗霊夢は、縁側でお茶を飲みながら、のんびりとしていた。
 脇がない巫女服というパンクなスタイル――つまりいつも通りだった。


「ああ、『拉致だ』とか『国に返せ』とか言う連中ばっかりだよな」 


 つぶやきに答えたのは、とんがり帽子をかぶったいかにもな白黒魔女、霧生魔理沙である。
 ここ最近、幻想郷に入ってくる妖怪が急増していた。
 外と内を隔てる博麗大結界の維持に関わる霊夢は、嫌な予感がしていた。


「外の国、えっと、なんだっけ」

「『ソビエト社会主義幻想共和国連邦』だってさ」

「そうそう。よくそんな舌をかみそうな名前を憶えているわね、魔理沙」

「里に行ったとき、外来人に聞いたんだ。なんでも、人妖が共存している珍しい国らしい」

「勝手に国民を浚って大丈夫なのかしら」

「だめだろ」


 人間と妖怪が暮らす楽園。
 それが、幻想郷であり、霊夢は、「楽園の素敵な巫女」の役割を担っている。
 すなわち、幻想郷を守ることが彼女の仕事といえた。
 その幻想郷が危機に瀕しているような予感が、ずっとするのだ。
 突然増えた外の妖怪。これが原因かもしれない。


「その通りですわ」

「うおっ、びっくりした。突然出てくるなよな」

「何の用かしら、紫」


 突然、姿を現したのは、八雲紫。
 幻想郷の創始者にして管理者であり、神出鬼没の隙間妖怪である。


「最近、外からの妖怪が急増しているのは、知っているわね。博麗大結界はどうなっているのかしら?」

「誤作動しているわね」

「……なぜそう思うのかしら?」

「勘よ」


 にべもない答えに面をくらう紫だが、いつものこと、と流した。
 それに、この巫女の勧はよく当たるのだ。


「そうね。この問題は、私の愛する幻想郷の存亡の危機なのよ」

「そんなヤバイ話なのか!?」


 いきなり始まったスケールの大きい話に、魔理沙は驚く。
 そんな彼女に、やんわりと紫が言う。



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