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東方
共産主義という名の妖怪
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を売るなんて、いったいどこの誰かしら?被害者が、無事に帰ってきているのだけは、不幸中の幸いね。記憶を失っているけれど」


 フランドールに答えるのは、ソ連のトップ、レミリア・スカーレット書記長である。
 彼女も吸血鬼であり、背中には蝙蝠のような翼があった。
 ソ連を建国したカリスマ的独裁者である。
 「赤い皇帝」と畏敬を込めて呼ばれていた。
 妹のフランドールを猫可愛がりしている彼女は、妹の姿に目を綻ばせるも、すぐに、きりりとした表情を作った。


「あなたたちKGBでもわからないのね?」

「ダー(そうです)。目撃者が大勢いる中、こつ然と姿を消すそうです。おそらく、何らかの魔術によるものだと思われますが、痕跡が残されておらず、調査は難航しています」

「同士パチュリーは何と言っているのかしら?」

「転移魔法とはまた違うようだと言っています。いま、現場を回って詳細な調査をされています」

「同志こいしの方は?」


 古明地こいし内務省(NVD)長官。
 彼女は、人の心が読める、さとり妖怪である。
 紆余曲折を経て、フランドールの忠実な下僕となっていた。
 彼女に褒められたいがために、秘密警察を率いて、国内の反乱分子を嬉々として粛清している。
 心の声が聞こえる彼女は、尋問にぴったりである。
 が、あえて拷問することも多い。
 レミリアは密かに、隠れサド、と呼んで恐れている。
 トラウマなんてなかった。


「やはり調査中です」


「そう、ありがとう。苦労をかけるわね」


 苦笑しながら、ねぎらう。


「ニェット(いいえ)。そんなことはありませんわ、お姉さま。いまの仕事には、やりがいを感じています」


 ふわり、と笑いながら頼もしい言動をするフランドール。 
 フランも立派になったわね、と、レミリアは、訳もなく嬉しくなった。
 泣く子も黙るスパイ機関である国家保安委員会(KGB)の長官である。
 対外諜報活動を一手にになっており、レミリアに次ぐ権力をもっている。
 少しでも彼女の機嫌を損ねれば、ルビヤンカの地下送りかシベリアに流刑にされるといわれ、恐れられていた。
 とはいえ、あまり粛清しすぎないように、レミリアは気を付けるようにしている。


 そのフランドールは、生まれたときから強力すぎる能力を持っていた。
 さらに、悪いことに狂気におかされてもいた。
 両親は、そんな彼女を殺そうとした。だから――


「もう、家を出て500年かしらね」


 ――家出した。フランドールを連れて。
 楽な旅路ではなかったが、妹とともに根気強く狂気を抑えようとした。
 旅の途中で仲間になった魔女パチュリー・ノーレッジや武闘家である紅美鈴の協
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