第四章 誓約の水精霊
第三話 セーラー服
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ロウが作ったのねあれ」
睨みつけながらそう言うと、ニヤリと笑った士郎がルイズを見下ろした。
「まあな、なかなかのものだろう、昨日、ギーシュに頼まれてな、予備の中からあの子に合うように仕立てたんだ」
「ギーシュに? あっ何だ、そう言うこと」
士郎の言葉に安心したような顔を見せるルイズの頭に手を置く士郎。
「ルイズの分ももうそろそろ出来るからな、もう少し待っていてくれ」
「んぅ、んふふ……待ってるね」
頬を染めながら、上目遣いで士郎を見上げるルイズは、幸せそうに士郎に笑いかけた。
そんな二人の周りの席に座る男子生徒たちは、机に倒れ伏した状態で口から砂糖を吐いて白目をむいていた…………。
モンモランシーが教室の視線を独り占めにした日の放課後、ルイズたちの食堂を作るため、士郎は厨房にやって来た。
厨房の中は夕食前ということから、まさに戦場の如くであったが、いつもと違う雰囲気を敏感に感じ取った士郎は、厨房の隅で一息ついているマルトーに声を掛けた。
「マルトー何かあったのか? 何だか厨房の中の雰囲気がこう……ふわふわとしているが?」
「ん? おっ、おおっ我らの騎士! どうした、また夕食を作りに来たのか?」
「士郎でいいといつも言っているだろう。まあ、そうなんだが、で? この雰囲気はどうしたんだ?」
士郎に気付いた周りの者たちが(その全てが女性ではあったが)、士郎に声を掛け、それに手を振り応えながらマルトーに尋ねると、マルトーはピシャリと顔をその大きな手で覆い、重い溜息を吐いた。
「っはああぁぁ〜……、それなんだがな我らの騎士。実はお前のせいなんだよ」
「は? どういうことだ?」
全く身に覚えのない士郎は、腕を組んで疑問の声を上げる。
その様子に、マルトーは顔を覆った手の指の間からこの厨房に漂うふあふあとした雰囲気の原因である厨房で働く男たちをじろりと見回す。
「あんた、シエスタに服を送っただろ」
「ん? ああ、そうだが。それがどうかしたか?」
士郎がそれがどうかしたか? という顔をすると、マルトーが「あ〜」と天井を仰ぐ。
「着てきたんだよ」
「は?」
「だから、シエスタがあんたがやった服を着て厨房に来たんだよ」
「はっ?」
「それを見た若い衆があんな感じになっちまったんだよ」
「あ〜……あ? 確かにシエスタのあの姿はかなり魅力的だったが、それであんな風になるか?」
マルトーの言葉に納得を示した士郎だが、途中で納得がいかなかったのか、眉間に皺を寄せ考え込んでいると、顔を覆った手を離し頭をがりがりとかきながらマルトーが考え込んでいる士郎に声を掛けた。
「まあ、確かにありゃ可愛かったが……俺がいけな
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