19:パーティ・プレイ
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いが……対策をしているという仕草が微塵も見当たらなかった。正直、隙だらけで見ていて非常に危なっかしい上に、彼の戦いの働きはレベルが幾分下のシリカの半分以下という凄惨たる始末だった。
本当に大丈夫なのだろうか……色んな意味で。
ともあれ、こういった具合に俺達のパーティは敵集団を各個撃破し、ユニコーン探索を続けていった。道中、トレジャーボックスや新ダンジョンが見つかる事も無く、似た風景の薄暗い森の光景が億劫に続く……のだが。
なんだかんだで俺は、シリカとユミルの他愛無い話に横槍を入れたり、ユミルから受けたショックからようやく回復し、尚も懲りずアスナとリズベットに誘いの声をかけているハーラインにデイドと揃って肩をすくめながら溜息をついたり……実の所、そう退屈することなく一日分の冒険を終えることが出来たのだった。
それは、見様によっては楽しくもあったとも言えるし、こうとも言える。
――今日は《死神》は手を出してこなかった、と。
忘れてはならない。
この三人と、この場に居ないもう一人の中のいずれかが、恐らくは死神であるという事を。
………
……
…
…
……
………
「――……ト。……ちょっと、キリトッ?」
「あっ……なんだ、リズ?」
ふと我に返れば、俺の目の前で腰に両手をあてたリズベットが俺を見下ろして、じとーっとした目で睨んでいた。
「なんだ、じゃないわよ。食材の買い足し、頼めるかって聞いてんの!」
「え? あ、ああ……」
どうやら考え込みすぎて、帰り道からの記憶がプッツリ途切れていたらしい。
気付けば俺は、マーブルの宿屋のソファに身を沈めていた。
時刻は辺りも静まりだす夜。夕食時であった。
「……どうしたのよ、ボーッとして。疲れた?」
「いや……少し、考え事してた。ちょうどいい、少し外に出て頭冷やしてくるよ」
俺は立ち上がり、首を傾げているリズベットから差し出されたメモらしき紙片を受け取る。
「それじゃ、頼んだわよ。今のマーブルさんのキッチン、あたし達も総出で、まさに戦争状態なんだから!」
「ははっ、それは大変だ」
いかな宿の広いキッチンでも、四人もの女子が所狭しと調理に勤しんでいる様子は容易に予想できた。それはリズベットの鼻先やエプロンについた何かのソース然り、その背後のカウンター奥から聞こえる騒がしい調理の音や姦しいアスナ達の黄色い声然りだ。
「それから、なるべく早くによろしくね。……ユミルくんがお腹を空かせてるんだから」
「……ああ」
そうだった。
俺達は本日の狩りを終了し、一度解散。そして今
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