19:パーティ・プレイ
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と一匹の笑顔のハイタッチでも拝めれば最高なのだが……
当然、そんな俺の願いは叶えられる訳も無く。勝負がついた直後にユミルとデイドの二人は背を向け合い、その間のシリカとピナがオロオロする構図がなんとも物悲しい。
溜息をつきながら、思いのほか手が空いたので、加勢の必要が無かったと思われたもう一方のグループへと足を向ける。アスナとリズベット、そしてハーラインの三人だ。
……ふと、HPとは別の意味で少々危険を感じ、加勢に急ぐが……
「――ハァッ、トウッ!! どうだね、私とミスティアは美しいだろうっ!?」
「「……あー、そうですねー……」」
……………。
俺は数秒沈黙、そして加勢することなく剣の先を地へと力なく降ろした。もともと、アスナとリズベットの二人がいれば、この階層の敵が相手ならば加勢の必要も無いのだが……それが必要ないと判断したわけではない。
……この光景がシュールだったが故に、つい脱力してしまったのだ。
ハーラインはゴブリンの群れに向かって薙ぎ払いの攻撃を幾度も続けている。だが、その動きがなんというか……うん、非常に残念な事になっている。
動きがおかしいのはもちろん、妙にたどたどしく、しかも一撃を決めるたびに一々決めポーズらしいアクションを取っているのが心憎い……いや、鬱陶しい。しかもその攻撃の半分はスカスカと外れており、彼のシュールさを助長している。
「あぁぁあぁあああ美しイイイイイイッッ!!」
その中で唯一救いなのは、彼の武器……ユニコーンの角を使ったパルチザン《バッシュ・ミスティア》の美しさとその威力だ。
振られるたびに刃がオーロラのような薄青い軌跡を残し、ゴブリン共のHPを大きく削ぎ取っていく。だが、彼の半端なレベルや相手が五十二層のモンスターということもあり、流石に一撃死とまでにはいかない。
アスナは彼が空振った分を一撃の元に仕留め、リズベットは彼に薙ぎ払われHPが削れた者を鈍器でゴスゴス殴ってトドメを淡々とこなしていた。その二人の顔は妙に暗澹としていて、その気持ちもとてもよく分かる。
反してハーラインは、今が人生の絶頂と言わんばかりにその顔が活き活きと輝いていたのだ。まぁ、両脇に美少女二人を侍らせて敵を狩っているのだから、彼の場合は無理も無いかもしれない。
「アハッハッハ! 最高のショーだとは思わないかね!? 見たまえっ、ゴブリンがゴミのようだ!!」
「「「……あー、そうですね……」」」
アスナとリズベットの唱和に、今度は俺も自然と参加していた。
ただ、見ていて分かることが一つある。
彼の防御力不足を補う方法は…………無い。
職人クラス故に、現場の危機感に希薄なのか、それとも本当に馬鹿なのか分からな
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