再会-リユニオン-part1/トリステインへの帰還
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出す。自分が惚れたのは、ギーシュとの決闘の時や学院を襲った謎の円盤に対しても決して物怖じせず勇敢に立ち向かった、見ているものを燃え上がらせるサイト。だが、アルビオンから帰還してからの彼は、ずいぶんと腑抜けになってしまった。確かに、あれだけの惨事が目の前で起きればショックを受けても仕方ない。けど、いつまでも引きずってもらうとせっかく燃え上がった自分の恋の炎が鎮火してしまうではないか、というのがキュルケの見解だった。自分が慰めようとは思ったが、思春期男子らしく美女に気を引かれやすいくせに意外と固いところがあるサイトだ。不謹慎かもしれないし、サイトのことはあえておいておくことにしよう。自分に宿る恋の炎が鎮火しない限りは狙いを定めたままだが。
「…そう。じゃああたしたちは姫殿下にご報告に行きましょうか」
「そうだな。けど…気が重いな。せっかくの姫殿下が僕らにお与えくださった任務を失敗してしまったのだから」
ワルドの裏切りという想定外の展開があったとはいえ、ギーシュは麗しき姫が自分に(正確にはルイズだが)頼み込んできた任務を失敗して戻ってきたことを伝えるなど気が重い。それにもう一つ、アンリエッタにとってあまりに辛い事実を自分たちは伝えなければならないという義務があると思うとさらにやるせない。
「あなたのせいじゃない」
気落ちしているギーシュの肩に、タバサの手が乗っかった。
「ああ、タバサ…君は何て優しい…」
「私たちが見抜けなかった相手を、あなたなんかがどうやって裏切者だと見定めることができるの?」
「……………」
優しい言葉をかけてくれたと思い、調子に乗って手の甲に口づけしようとしたら、棘のある物言いをされてさらにギーシュは落ち込んだ。
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