第一話 「魔王セラフォルー・レヴィアタン」
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心配掛けないようにと心掛けていたのだが、どうにも失敗したようだった。
「別に大したことじゃないよ? ちょっと昔のことを思い出してただけで」
「それって、君が数日行方不明だった時のことかい?」
「そうそう、それ」
「あのとき何があったのか、結局君は何も語らなかったって聞いてるけど、その様子だと随分と大事な何かがあったんだね」
セラフォルーが二つの回廊の終わりに居た期間は数年単位だった。なのに、この世界に戻ってきたときは向こうへ行く前から数日しか経っておらず、そこまでの大事にはならなかったのだ。
セラフォルー自身は、二つの回廊の終わりに行ったこと、そこでの出来事や出会った人々のことは何一つ、誰にも教えていないので、結局は謎のまま、今日まで来た。
「う〜ん、疲れちゃった☆ ねぇサーゼクスちゃん、少し休憩しよっか?」
「そうだね、グレイフィアに言って紅茶でも淹れてもらおうか?」
「それより、少し散歩したいかな〜☆」
「わかった、中庭で良いかな?」
「オッケ〜☆」
魔王の仕事場である議事堂には大きな中庭が存在している。
調度散歩するのに打ってつけの広さなので、二人は執務室を出て中庭に行くと、植えられている大木の根元に腰を下ろした。
「ん〜! 良い天気だねぇ〜」
「冥界の紫色の空じゃ情緒なんて無いに等しいけどね」
「気分の問題だよ☆」
そんなものか、とサーゼクスも笑いながら吹いている風の心地よさを肌で感じていると、ふと視界の隅に妙なモノを見つけた。
「あれは……?」
「どうしたの?」
「いや、あれは何かと思ってね」
そう言ってサーゼクスが指差した先を見て、セラフォルーは息を呑んだ。なぜなら、それはあまりに見覚えのあるものだったのだから。
空間に出来た裂け目、その周辺空間にある歪みは、間違いなく若き日のセラフォルーを二つの回廊の終わりへと誘い、そしてこの世界へと送り返してくれたもの。
「裂け目から、何か出てくる!?」
「え……うそ、あれって」
裂け目から、人影らしきものが出てきた。人数にして6人、全員が女性と思しき顔なのだが、その6人の内、4人はセラフォルーが会いたかった人物だった。
忘れもしない赤い髪に緑色の服を着た美女にしか見えない男性、ブロンドの髪をストレートに伸ばしたメイド服の美女、青い髪を短く切りそろえた美女メイド、茶髪の髪をセミロングにしたアホ毛が特徴の美少女メイド、4人ともずっとセラフォルーが会いたかった人たち。
「セリカ様! エクリア様! マリーニャちゃん! シュリちゃん!」
慌てて駆け寄ったセラフォルーが6人の様子を見たが、気を失っているだけのようなので
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