八話
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品増え、生徒三人は非常に満足したものだったと言う。
「む?」
「え?」
新学期まで後数日。これから一年間世話になるだろう教室の掃除でもしようかと学校に訪れてみると、席に座る一人の少女がいた。ただし、その少女は……若干透けていた。
「と、言うわけなんです」
「なるほど、な」
話を聞くに、この少女は数十年前に何らかの理由で死を迎え、それから今まで幽霊として過ごしてきたらしい。それも運の悪いことに……場合によっては良かったのかもしれないが……隠密性が高く、誰にも気づいてもらえず寂しい思いをしていたと言うことだ。
「私に気付いてくれたのは、先生だけなんです! 本当に寂しかったんですよー!」
「気持ちは分からんでもないが泣くんじゃない。これからは話し相手ぐらいにはなってやれるからな」
本当ですかー!? と今度はうれし涙を流す幽霊少女……相坂さよを適当にあしらいながら思考にふける。名前を聞いて思いだした事だが、彼女はれっきとした2‐Aの生徒だ。学生名簿にもちゃんと載っている。これだけでもまぁ問題なのだが、さらにそれに拍車をかけるのが名簿に書かれたタカミチからの言葉「席、動かさないこと」これだ。これのせいで、学園は相坂の存在を知りながら放置していたと言う証明になってしまう。
タカミチが彼女の存在を知っていて書いたのか、それとも学園長に指示されたことをそのまま伝えたのかは知らないが相坂を放置したということには変わりない。
「先生、私の話聞いてます?」
「ああ、聞いているよ」
少し怒ったような、それでいて不安そうな声をかけてくる相坂に、私は考えるのをやめた。とりあえずは、この少女の相手を務めるとしようか。
「すまないな、掃除を手伝ってもらって」
「いえ、元はと言えば私が話し続けてしまったからですし」
相坂の話がひと段落した所で、私は当初の目的である掃除を始めることにした。相坂は私も手伝います! と言ってくれたわけだが、幽霊に出来るのかという当然の疑問を問いかけてみたが、相坂は感心するほどに洗練されたポルターガイストで窓拭きを担当してくれた。おかげで予定していたより速く終わった。
「それより、本当にいいんですか?」
「構わんさ、放っておくわけにもいかんしな」
現在は相坂を伴って寮へと帰宅中だ。相坂がこれまで寂しい思いをしていたのが学園のせいであるなら、それに対処するのも学園に所属する私の役目だろう。彼女は私の生徒でもあるからな。それに、刹那と真名ならば、ここに相坂が存在すると教えてやれば視認できるようになるだろう。 二人とも友好的とは言い難い部類ではあるが、悪い子ではない。相坂と友人になってくれることを、ひそかに期待した。
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