下忍編
支障
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は、忍としての生き様を知りすぎてしまっている。ゆえに、彼女は恐れることが出来ない。忍びは里を守る物であると認識してしまっている彼女は、階級だろうが、収入だろうが、名誉だろうが、そんなものに一切の影響を受け付けない。
彼女にとっての忍は、里の為だけに生きて、里の為に死ぬだけだ。
空気が固まる。先程まで部屋を支配してた重苦しい空気が取り払われる。驚愕の視線が一斉にカトナにむけられ、イビキは舌を打った。
「あれ、なんか、へんなこといった?」
困惑したように辺りを見回したカトナに、ナルトはにししっと笑いながら、カトナの肩を力強く叩いた後、ばんっと、軽く机にもう一つの手を叩きつけた。
「カトナの言うとおりだってばよ。俺は別に中忍になれなくてもいい。なれないならなれないで、それでいいってば」
ナルトは意気揚々と言い切る。もともと、彼は忍びになることを一度諦めた身だ。躊躇いもなければ戸惑いもない。この義手の両腕では、中忍になれたとしても、上忍になれないかもしれない。ならば、
「俺は下忍のまま、どの忍びをも超える、すっげー強い忍びになってやるってばよ!!」
実力で証明するだけだ。
言い切った少年に、よしよしと頭を撫でたカトナは、どうしたもんかと首をかしげる。
何せ、視線が自分達に集中しきっているのだ。何か変なことしただろうかと、自分が仕出かした凄い行いに気が付かず、とりあえず、カトナはその場に座り込む。
本当ならば、今すぐにでも自分の席に座りたいところなのだが、歩いている途中に視線を向けるだけでカンニング行為にされかねない。面倒くさいことは嫌なので、そこに、両膝をたて、腕で抱えた態勢で座る―つまりは、体育座りである。
さらに異彩を彼女は放つが、しかし、本人は気にも留めず、イビキを睨み続ける。
その視線を真っ向から睨み返し、彼女によって潰された空気を思いながら、イビキは尋ねた。
「もう一度聞くぞ。受けない奴は手を上げろ」
その言葉に、今度は誰もあげなかった。
目が覚めたというように、意志の強い瞳でイビキを睨み返す。
「では…」
第十問目が言われると、全員が筆をとり、問題用紙を睨み付ける。
今から言う言葉を一字一句聞き逃さない様にしようとした彼らの耳に、その言葉届いた。
「この教室にいる全員に、一次試験合格を言い渡す」
「はぁ!?」
一斉に生徒から驚愕の声が出され、教室に響き渡る。きんきんと、幾重にも重なったその声の所為で痛む耳を押さえながら、カトナは目を見開いた。
中忍試験、第一次試験は69人の合格だった。
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