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無欠の刃
下忍編
支障
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が立ち上る。
 湖面の目が、赤く、光る。

 「次にじいちゃんに危害を加えさせるような言動はいてみろ。その眉間に、苦無をぶち込む」

 低い声と放たれた殺気に、彼らの全身の毛が逆立つ。
 しかしながら、イビキはその物騒な言動を軽く往なし、全員に向かって一括する。

「ふんっ、そうかい。他の者にも言っておくぞ! 中忍試験において、試験官が決めたルールは絶対だ。試験官が決定したことは、例え五影であろうと覆すことは許されない。それは絶対のルールだ! まあ、一生下忍でもそのうち良いことぐらいあるさ。気にすんな」
「ふざけんな、そんな理由で俺らの運命をきめられてたまっ」

 そういって更に吠えようとしたキバの耳すれすれを通り、苦無が机に突き刺さる。
 ばっ、と後ろを反射的に振り返ったキバの目に、退屈そうに歪んだ湖面を見つける。

「黙れよ。弱い犬がよく吠えてどうする」
「てめっ」

 湖面は涼しい顔でそれを無視し、笑った。

「だから、最初から提示されてんだろ? 受けないっていう選択肢がな」
「そうだ。その坊主の言うとおりだぜ」

 お前はどっちの味方だよ。
 全員が内心で突っ込んだが、この試験の真の目的に気が付いた湖面にとっては、全員敵である。なるべく自分は合格し、他者は落とす。そのために、彼は畳かける。

 「俺達の時間は有限だ。こんな選択で一生を無駄にする必要はない。無謀は死につながる。かしこい人間ならば、どっちが正しいかなんて一目瞭然だよなぁ」

 あ、俺は馬鹿だからわかんないけど。
 そう小さくつぶやいた湖面に、中々見どころがあるじゃねぇかと上機嫌になったイビキが告げた。

 「第十問。受けないを選択する者は挙手しろ」

 次の瞬間、悦が溶けた表情が消え、まじめな顔になったイビキに、ごくっと唾を飲んだ一人が恐る恐る手を上げる。

「お、俺は受けない!」
「お、俺もだ。済まない、源内、イナホ」

 その言葉を皮切りに、どんどん人が流れ出す。
 上々だと笑ったイビキは、時間に目をやる。今の生徒にとってはそれすらもあせりに繋がる。
 時が、過ぎていく。緊張が体を締め付ける。
 そんな中、ぶちりと、自分の血管を切れる音が聞こえたナルトが、腕を上げた。
 イビキが笑い、湖面が舌を打ちながら、苦無を投げてナルトの手を下げさせようとした時。
 ナルトの手が、勢いよく机に向かって振り下ろされかけ。

 ナルトの腕が、掴まれた。

 試験官は誰も動いていない。動いていたのは、たった一人だけ。

 「ナルト、駄目。弁償代高い」

 そう、いささかずれた発言をして腕を掴んだのは、その場にはいてはいけない筈のカトナだった。
 その存在を認識した瞬間、ばっ、と一斉に全員がカトナがいた
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