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ゾンビの世界は意外に余裕だった
15話、第2章エピローグ
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すね」

「確かに一度見て貰っておいた方が良いかもしれませんね。キャリー。引っ越し作業の状況はどうだ?」
「八割ほどが完了しています」

「八割か。北側はどうだ?」
「北側の研究室は全て完了して空になっています」

「そうか。では幸子を呼んで香田巡査部長を案内させろ」
「承知しました」

 ここで俺のお腹が一際大きな音を出して食事を催促する。生理現象だから仕方ない。つーかそろそろ他の生理現象も限界だ。

「……香田さんの案内は彼女に任せます。私は心配されている方々の居る食堂にいきます」 

 やってきた幸子に香田巡査部長を預けると、俺は給湯室やお手洗いで素早くやるべきことを済ませて食堂に向かった。

「おはようございます」

 昨日より多い人達から挨拶の集中砲火を浴びた後、俺は昨日に続いて食堂の端に陣取る。そして、土建屋の未亡人である中嶋さんからプレートを受け取り、研究所の総人口の九割以上から発射される視線の嵐に耐えながら、カルビ焼き定食を黙々と食べた。そして何時ものようにコーヒーをすする。

「米谷君と井上少尉、井出軍曹はここに残り、あとの方は第一会議室に移動して下さい。キャリー。誘導してくれ」
「承知しました」

 キャリーは食堂の人々をS3戦闘アンドロイドを使って誘導を始めた。

 すぐに食堂はすっきりする。だが何故か呼び止めた三人の他に、自衛軍の兵士二人と婦警一人が残っている。何やら意見があるようだ。

 俺は食堂で一人づつ面接するから呼ぶまで外にいるよう伝えた。

 まずはパソコンに詳しい米谷君。彼にはレイアの居る警備指令室に詰めて貰うことにする。本職とは違うだろうが、彼にはインターネット上にある有象無象の情報を人間の視点で選別してもらう。

 その次は刈り上げ頭で童顔の井上少尉だ。今年入隊したばかりの経理担当の将校は、対ゾンビ戦でも後方支援に従事したとのこと。家族は遠い北海道らしく、電話する許可を求められたので許可したが、固定電話と携帯電話の両方がつながらなかったようだ。

 井上少尉からあまり情報を得られないと判断した俺は、彼を会議室に送りだした。

 それから兵士達と思ったら井出軍曹と先に話をするよう頼まれた。坊主頭がっしり体型の井出軍曹はアフリカ系鬼軍曹のレグロンをちょっぴり彷彿させる。

「井出軍曹は歩兵らしいですね」
「はい」

「今後も危険な仕事とかを請け負っていただけるのでしょうか」
「もちろんです。しかし条件とお願いがあわせて四つあります」

「条件とお願いですか。すぐにお聞きしたいですね」

「まず、非人道的な命令には従えません」
「問題ないですね」

「次に共和国の秩序に私は従います」
「それも問題ないです」

「それから私の家族と連絡を取れた時です。私は助けに行かねばなりません」
「問題ありません」

「最後に、自衛軍基地を
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