暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
語り部と火竜と紅蓮
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
やって目を伏せて顔曇らせて……息子と敵対するって事実がそんなに嫌か?」

その声に苛立ちが強く含まれる。
それに気付いたのだろう。エストはハッとしたように目を見開き、右手で顔半分を覆った。その顔の右側を覆う仕草は見慣れた自分の仕草と似ていて、更に苛つく。
無意識のうちに舌打ちをして、見ていられなくなって目線を右に逸らした。

「嫌だ……と言ったら、どうする?」
「は?」

突然呟かれた声に、目線を戻す。
エストは真っ直ぐにアルカを見つめ、再度口を開く。

「本音を言えば、敵対したくない。お前の相手、という立場から逃げ出せたらどれだけ幸せか。子を捨てた親の分際で何を言うかと思うかもしれないが…私は、今でもお前を息子だと思っている」

それを聞いた瞬間、アルカの全身を何かが駆けて行った。
足から上るように駆けるそれの正体が解らず、頭に入り中で溶けるように消えても解らない。
ただ、気づかないうちに震える声で呟いていた。

「……やめろ」
「本当に…本当に悪い事をしたよ、お前には。当時“あんな事”があって、お前をこれ以上闇に触れさせるまいとした事が、結果的にお前を傷つけてしまった」
「やめろ……」
「ミレーユを間接的に殺し、お前を孤独にしたのは私達だ。それに加え仲間であるティア嬢を苦しめて、ルーレギオス君の故郷を滅ぼして……本当に…本当に悪かっ――――――」
「やめろっつってんだろうがああああああああ!」

エストの謝罪を吹き飛ばし掻き消すように、アルカは叫んだ。
耳を塞ぐように両手を当て、現実から目を背けるように目を瞑り、ありったけを吐き捨てるように叫ぶ。
全身を熱い何かがぐるぐると駆け巡り、アルカの中の何かを呼び覚ます。

「謝罪なんざ求めてねえんだよ!お前はオレの親じゃない!何があったって認めてやらねえ!今更親面すんな!姉貴を殺したくせに……オレを捨てたくせに!」
「……マズイ、よせアルカンジュ!」
「姉貴も親も何もかも失って、オレがどんな思いで帰りを待ってたと思ってんだ!帰って来るってどこかで信じてた!帰って来ないってどこかで解ってた!だけど帰って来てほしかったんだよ!なのに…なのにお前等は!」
「ダメだアルカンジュ!それ以上言うな!」
「ずっと探してた!探して、やっと会えたと思ったら敵?ルーの故郷を滅ぼした?ふざけんな!それで勝手に罪悪感抱いて手加減されてちゃ腹立つしたまんねえよ!こんな……こんな再会望んでない!オレは……こんな再会なら、会う事なんて望まない!こんな再会するくらいなら、会えない方がマシだ!」
「アルカンジュ!」





「アルカ!」





我を忘れて叫ぶアルカを引き戻したのは、女性の声だった。
柔らかく優しい声。それに引っ張られるように、アルカ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ