暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
語り部と火竜と紅蓮
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いる光景に当てはめると、誰よりもしっくりくる。

(そうだ、アルカだ!確かナツとアルカが誰か相手に苦戦してた。オイラはそれを見てて、周りには他に誰もいなくて、勝ったんだ……けど、何で苦戦してたんだっけ)

あと1歩なのに思い出せない。それほどまでに影が薄い敵だったのか、それともずっと前の事なのか。1つだけ解るのは、通用しないと解っていながらアルカが炎を使っていたという事。大地(スコーピオン)を取り戻す前だという事になる。幽鬼の支配者(ファントムロード)と戦う前なのだろう。

「火竜の翼撃!」
「吸収ー」

もうお決まりとなったパターンにナツは表情を歪める。
咆哮も鉄拳も翼撃も、全てが通じない。かといって素手で挑めば凍らされ、それを溶かすのに使った炎も利用される。
一撃も当たらない。通じない。何もかもが、無力化される。
それを考えるだけで、ナツの中で怒りがふつふつと湧き上がり――――抑えきれず、爆発した。

「くっそおおおおおおおお!何で炎が消えちまうんだ!納得出来ねえええええええ!」

ゴオオオオオッ!と。
凄まじい熱気と音を周囲に放ちながら、ナツの全身を炎が包む。その中心にいるナツは悔しそうに吼え続け、それに合わせるように炎の温度が上がっていく。

「ナツ!」
「無駄ー、だよー……吸収ー」

慌ててハッピーが叫ぶが、遅かった。
何も考えずに炎を放っていればシオに吸収される。ナツにだって当然魔力の限界があるのだから、あのままではシオはエネルギーを得て、ナツは魔力を失う。そうなれば勝敗なんて一発で解る。
引っ張られるようにシオの右腕に消えていく炎の分を補うかのようにナツの怒りが炎に具現するが、それをもシオは吸収していく。

「んがああああああああああああ!」
「やめなよナツ!そんな事したら負けちゃうよ!」
「納得いかねえんだよ!ちっくしょおおおおおおおおお!」

ハッピーが声を掛けるが、ナツの怒りは燃えるばかり。
いつもなら“どうしようもないね”と片付けるが、今はそれどころではない。シオに勝ち、更にシャロンを倒し、ティアを助けなければならないのだ。それなのにこんな所で無計画に魔力を使っていては、シャロンを倒すなんて無理になってしまう。
きっとそんな事を微塵も考えていないナツを止めようと頑張っても、炎に近づけば火傷してしまうし、言葉では止められないのは実践済み。それこそどうしようもない。

(……あれ?)

ふと、ハッピーの中で引っ掛かりが強くなった。
前にも――――ナツとアルカが誰か相手に苦戦した時も、こんな事があった。こうやってナツがキレて、全身から炎を噴き出していた事が。

(確か……そうだ、あの時はエリゴールの暴風衣(ストームメイル)に苛立ってたんだ。炎が無効化されちゃうから
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