暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
語り部と火竜と紅蓮
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げる、と頭のどこかで考えてはいるものの、行動出来ない。
直ちに勝敗が決まる武器。その結果に作用するほどの魔法以外は、勝ちか負けかを認めるしかないのだ。
そしてクロノは、最後に紡ぐ。

「投槍グングニルに命じる。“勝敗を下せ。勝者に栄光を、敗者に一撃を”」

囁くような声は風に乗って溶けるように消える。
クロノの声が消えたのとほぼ同時に。





――――――悲鳴も何もかもを掻き消す光の一撃が、ジョーカーに直撃した。













熱エネルギーがナツの桜色の髪を掠った。
1cmにも満たない長さの髪がふわりと切れ、地に落ちる。が、ナツはそんな事お構いなしに地を蹴り、駆けていく。

「うおおおおおっ!」
「全くー、もうー」

ふぅ、と溜息を付きつつ、シオはナツの周りの熱を奪う。
それによって突き出されたナツの拳が凍りつき、それを溶かそうとナツが炎を出す。そしてその炎をシオが隙をついて吸収する。
見事なまでの悪循環はこれで5回目だ、とハッピーは思った。吸収された炎は変換されて放たれ、また同じ事が繰り返される。
かといって、この状況をどうにかする術がある訳ではない。どうにかしなければ、とだけ思う。
きっとここに彼女がいたら完璧な策を与えてくれるだろうけど、それと同時にこうも言うだろう――――「私を頼ってるヒマがあったら、その無駄な諦めの悪さをフル活用しなさいよ」と。

「くそっ」
「だからー、言ったー、でしょー?私にはー、勝てないー」
「うるせえ!」

吐き捨てるように言うと、もう1度駆け出す。
見た目だけならナツの圧勝を予想するが、実際にはシオの優勢のまま変わらない。
その様子を見つめるハッピーは、先ほどからの引っ掛かりを思い出そうと必死に頭を捻る。

(何だろう、オイラ何か覚えがある…)

その時も誰か相手にナツが苦戦していて、相手にナツの炎が通用しなくて、今みたいにナツは悔しそうで、それをハッピーは見ている事しか出来なかった。
確かそんなナツの隣には同じように悔しそうな誰かがいて、その誰かもナツと同じように炎を操っていて―――――。

(ティア…は水の魔法だから違うよね……マカオと一緒に戦ってるのは見た事ないし)

ナツと共闘する事が多いティアは対極する水の魔導士だし、炎の魔導士であるマカオと共闘している光景は思い出すどころか想像も出来ない。
ハッピーは自分が知ってる限りの炎の魔導士を思い出す。

(最強チームにはいないし、でもナツと共闘したって事はよく行動してる人かな……ルーシィ達以外だったら、ルーとアルカ……あ!)

そこまでいって、思い出す。
ナツのように炎一本ではないが、炎を操る魔導士がいる事を。ハッピーがおぼろげに覚えて
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